FOMC議事要旨が示した「利上げ検討」 CPI・PPIが新議長を直撃

2026年5月24日 17:40

 FOMC議事要旨で「利上げ検討」が浮上した今、個人投資家は、6月16~17日に開催されるウォーシュ新議長の初FOMCを前に、資産配分の見直しを迫られている。

【こちらも】CPI3.8%で利下げシナリオ崩壊 賃金を食うインフレが金利上昇招く

 この一週間で二つの数字が出た。5月12日に発表された4月のCPI(消費者物価指数)は前年同月比3.8%上昇と、2023年5月以来の高水準を記録し、年内利下げシナリオを崩壊させた。翌13日に発表された4月のPPI(生産者物価指数)は、前年比6.0%上昇と市場予想の4.8%を大幅に上回った。

 PPIはメーカーや卸売業者が受け取る価格を測る指標で、消費者に届く前の段階のインフレを先行して示す。PPI6.0%は企業側のコスト上昇、CPI3.8%は消費者が実際に感じる物価上昇だ。企業のコスト増が消費者価格に反映されれば、CPIはさらに上昇する。

 このインフレの原因は、FRBが金利を動かしても止められない原油高と関税だ。米・イラン紛争に伴うホルムズ海峡の封鎖で、WTI原油先物は一時1バレル102ドル台まで上昇し、4月の前月比CPI上昇分のうち4割超をエネルギー価格の値上がりが占めた。原油高に加え、トランプ政権の関税政策も輸入品の値上がりを通じて物価を押し上げており、金融政策の届かない領域だ。

 それでも市場はFRBに答えを求める。4月28~29日のFOMCでは4人が反対票を投じたが、これは1992年以来のことだった。うち3人は利下げ示唆の文言に反対したタカ派で、同じ会議でインフレが続けば利上げを検討すると発言していた。残る1人は即時利下げを求めるハト派だ。

 この会議の詳細が5月20日の議事要旨公表で明らかになり、「利上げ検討」という言葉が初めて市場に示された。FOMCが利下げではなく利上げに言及したのは、市場にとって想定外だった。

 個人投資家が6月のFOMCで見るべきは、利下げの有無ではない。ウォーシュ新議長がインフレを「一時的」と見るか「長期化」と見るかだ。

 一時的と判断すれば、次の利下げ候補となる9月FOMC以降への期待が戻り、グロース株・暗号資産は上昇圧力を取り戻す。長期化と判断すれば米10年債利回りの高止まりが続き、ドル高・円安がさらに進む。

 議事要旨が示した「利上げ検討」が現実となれば、銀行・保険会社が恩恵を受ける一方、金利上昇局面で売られやすいグロース株と不動産リートには一段の逆風となる。米10年国債利回りの上昇は日本市場にも波及しており、日本の長期金利の指標となる新発10年国債利回りは5月18日に一時2.8%と1996年以来の高水準をつけた。

 原油高と関税が引き起こしたインフレと、意見が対立したままのFRBを引き継いだウォーシュ新議長の初めての発言が、投資家の判断基準を変える。

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