相場展望5月18日号 米国株: 米株大幅安、(1) 米・中首脳会談への失望感 (2) インフレ懸念増す 日本株: 決算で株価急伸した銘柄を中心に、大幅下落が目立つ

2026年5月18日 19:34

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/14、NYダウ+370ドル高、50,063ドル
 2)5/15、NYダウ▲537ドル安、49,526ドル

【前回は】相場展望5月14日号 米国株: 決算発表シーズン後の次のテーマは、「インフレ加速」か? 日本株: イラン情勢の長期化⇒原油価格高騰は日本・世界経済を直撃 株価はそれを織り込んでいない

●2.米国株: 米国株は大幅安、(1)米国・中国首脳会談への失望感(2)インフレ懸念深まる

 1)米国・中国首脳会談の合意事項は小さすぎる内容
  (1)米国が狙っていた合意事項
   ・米国産大豆やLNG(液化天然ガス)の大幅輸入拡大。
   ・「ボーイング」の航空機500機超の購入。

  (2)米国・中国首脳会談の合意内容
   (1)トランプ1回目と2回目の合意比較
      2017年(1回目)          2026年(今回、2回目)
    ・中国は今後2年間で2,000億ドル    米国農産品を毎年170億ドル、
     以上の米国産品を購入        3年購入 
      ・2017年米国農産物240億ドル購入
    ・中国は米国航空機を2,000機購入    200機発注(事前報道では500機超)
    ・同行のCEOは20数名         わずか17名程度

   (2)首脳会談を受けて、市場の評価は「期待外れ」
    ・首脳会談は、期待外れで米国農産物価格は下落(先物価格、ドル)
           トウモロコシ  小麦    大豆
       5/07    466    618    1,196 
       5/13    480    680    1,224
       5/15    455    635    1,176
       5/13⇒5/15 ▲5.2%安 ▲6.6%安 ▲3.9%安

    ・航空機ボーイング株価も期待外れで下落
       5/07   231.03ドル
       5/13   240.60
       5/15   220.49
       5/13⇒5/15 ▲20.11ドル安
              ▲8.3%安

  (3)首脳会談の評価
   ・中間選挙のため成果が欲しいトランプ氏に対し、中国優位の展開で進む。
     ・特徴は、中国のトランプ第2回訪問へのお土産が、第1回よりも減少していることで首脳会談の小ささを証明できることにある。
   ・「台湾」問題では、習近平・国家主席は強気発言で攻勢。トランプ氏は終始、守勢が目立った。
     ・台湾への武器輸出も明言を避けた。
   ・「イラン」問題では、中国の積極的な協力は得られず。

  (4)首脳会談で、印象付けられたこと
   ・際立つ米国の卑屈さ、中国の尊大さ。
    ・習主席は、2027年の共産党大会で4選を確かなものにする国内演出は成功。習主席は、笑みを振りまき、米国に対する自信を印象付けた。
    ・トランプ氏に笑顔はなく、無表情でうつむいて歩く姿が目立った。
   ・米国の「退潮」、中国の「優勢」が目立った首脳会談だった。
    ・トランプ大統領は、元気なく・虚勢を張っていることが見え見え。
      ・いつもの自信満々の強気発言がみられなかった。
    ・習近平・国家主席は、自信満々。

 2)長期金利は上昇
  ・10年長期金利の推移
     5/07   4.371%
     5/13   4.465
     5/15   4.599
  ・米国はインフレ懸念が増す一方で、市場金利は上昇中。
   ・米国のイラン攻撃でホルムズ海峡が閉鎖され、原油価格が上昇。
   ・トランプ政策が裏目にでて物価上昇。
   ・トランプ関税に違憲判決が下され、最大26兆円もの返還で、財政赤字拡大。返還額は、米国債の発行で賄われるため、金利上昇には圧力が強まる。

 3)米国株は「奈落」の瀬戸際
  ・トランプ氏が引き起こしたイラン戦闘で、
    ・原油高  ⇒ インフレ加速
    ・金利高  ⇒ 米国経済成長の足かせ
    ・信認破壊 ⇒ 米国の孤立化
    ・米国財政赤字が拡大
    ・米国民は貧しさが強まる
  ・米国株買いのリスク増大
  ・トランプ一族の政局の変化を利用した証券大量売買で、市場の信認棄損が懸念。
  
  4)その他の懸念材料
  ・ホルムズ海峡を巡る米国・イランの合意期待が後退し、原油先物が+3%超上昇。
  ・米国と中国は「ホルムズ海峡の開放を望む」という平易な見解に終わり、失望。

●3.米国民主党、トランプ氏を証券取引汚職で非難「米国史上最も腐敗した大統領」(AFP)

 1)トランプ米国大統領が自身の名義で大規模な証券取引を行っていたことが明らかになったのを受け、民主党は5/15、トランプ氏が汚職に手を染めていると非難した。一方、トランプ氏の次男エリック氏は不正行為を否定した。

 2)民主党のウォーレン上院議員はX(旧ツイッター)に、「トランプ大統領の汚職は国家安全保障上の大惨事だ」と投稿した。ウォーレン氏は、トランプ氏が人工知能(AI)向け半導体を製造する米国半導体大手エヌビディアの株を購入していた件に言及した。
  ・トランプ氏がエヌビディアが中国に製品を販売することを許可した結果、エヌビディアの株価は一時的に上昇した。
  ・ウォーレン氏は、「トランプ氏は、米国の国家安全保障上の脅威となるにもかかわらず、エヌビディアの最高経営責任者(CEO)を中国訪問に同行させ、習近平国家主席に高度なAIチップの購入を働きかけた」「さらに、トランプ氏自身もエヌビディア株を数百万ドル分購入していたことが判明した」と指摘した。

 3)一方、トランプ氏の長男ジュニア氏と共に家業を率いる次男エリック氏はXで不正行為を否定。エリック氏は公職についていないが、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOらと共に今週のトランプ氏による中国訪問に同行した。

 4)トランプ氏は政権復帰後、家業の経営を息子たちに委ね、第1次トランプ政権時よりも倫理的な制限を緩めている。トランプ氏は以前、家族の海外投資を一時停止していたが、これを更新しなかった。
  ・トランプ・オーガニゼーションは最近、ジョージアのトリビシにホテル複合施設を建設すると発表した。
  ・トランプ氏自身も私邸で外交行事を開催するなど、公私の境界線を曖昧にしている。

 5)米国政府倫理局が5/14開示した資料によると、トランプ大統領は2026年第1四半期に、米国企業関連証券の売買に関与し、総額は数億ドルに上る。
  ・トランプ氏が政府倫理局に提出した財務開示報告書によると、同氏は1~3月期にエヌビディア、アップル、アマゾン、マイクロソフト、アドビ、オラクル、ウーバーといったテック企業などの証券をそれぞれ100万~500万ドル(1.58億~7.9億円)相当購入した。購入回数は2,300件以上に上る。
  ・同報告書によると、トランプ氏は同四半期、マイクロソフト、アマゾン、メタなどの証券をそれぞれ500万~2,500万ドル(7.9億~39.5億円)相当を売却した。売却回数は約1,300件に上る。
  ・米国経済誌フォーブスは、2026年3月時点で大統領の個人資産を65億ドル(約1兆円)と推定しており、わずか1年間で14億ドル(約2,200億円)増加したことになる。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/14、上海総合▲64安、4,177
 2)5/15、上海総合▲42安、4,135

●2.台湾、すでに「独立国」だと表明、トランプ氏の警告受け(AFP=時事通信)

 1)台湾外交部(外務省)は声明で、「台湾は民主主義の独立主権国家であり、中華人民共和国に従属するものではない」と強調した。

●3.米国、台湾に独立宣言しないよう警告(AFP)

 1)トランプ米国大統領は5/15、中国訪問で習近平・国家主席に台湾を支持しないよう圧力をかけられた後、台湾に対し正式な独立宣言をしないよう警告した。
 2)中国の王毅外相が主張「米国側から台湾独立認めない姿勢を感じ取った」(TBS)
 3)台湾問題「何も約束しなかった」とトランプ大統領、帰国の機内で高市総理と約15分間の電話会談。(TBS)

●4.トランプ氏が沈黙、習氏からの「大きなハグ」を待ちわびるも肩透かし(AFP=時事通信)

●5.トランプ大統領、9/24に習近平・国家主席夫妻をホワイトハウスに招待(TBS)

●6.習氏がトランプ氏に警告、台湾問題で対応誤れば「衝突」も、米中会談(ブルームバーグ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)5/14、日経平均▲618円安、62,654円  
 2)5/15、日経平均▲1,244円安、61,409円 

●2.日本株: 好決算で株価急伸した銘柄を中心に、大幅下落が目立つ

 1)日経平均寄与上位
  (1)5/14、日経平均▲618円安、寄与上位5銘柄▲675円安、占有率109.22%
     寄与上位      寄与額     下落率
     フジクラ     ▲302円安   ▲19.10%安
     ソフトバンクG   ▲195     ▲4.03
     ファーストリテイ ▲94      ▲1.61
     キオクシア    ▲48      ▲4.04
     ソニー      ▲36      ▲5.90
      合計      ▲675

   ・フジクラが▲19.10%安とストップ安水準となった。ここのところ急上昇した銘柄が日経平均を押し上げたが、フジクラは七本槍の1つ。フジクラだけでなく、関連銘柄の今後の動向に注意したい。

  (2)5/15、日経平均▲1,244円安、寄与上位5銘柄▲925円安、占有率74.35%
     寄与上位      寄与額     下落率
     アドバンテスト  ▲544円安   ▲7.88%安
     フジクラ     ▲108     ▲8.43
     キオクシア    ▲94      ▲8.27
     東京エレクトロン ▲92       ▲1.78
     イビデン     ▲87      ▲7.67
      合計      ▲925

   ・フジクラは2日連続で大幅安。
   ・決算発表の佳境は先週末までだけに、今後、好材料の発表は乏しくなる。
      
 2)長期金利上昇
  ・10年国債金利が上昇
     5/07   2.479%
     5/15   2.704
  ・10年物長期金利は2.7%に上昇し、29年ぶりとなる高水準を更新した。
    ・5/18、11時時点は2.793%に上昇している。
  ・金利高の要因は
    ・前日の米国債市場で10年債利回りが4.48%に上昇した。
    ・原油価格の高止まり。
    ・円安基調が続いている。
    ・輸入物価指数が前年比+17.5%上昇し、3月の+8.0%から大きく拡大した。
    ・インフレ懸念がくすぶり。
  ・この金利上昇の環境が続けば、「3%台」乗せもあり得る。株式市場にとって、「悪環境」となるため、動向に注視したい。

 3)日経平均5/15の値動き
  ・5/14終値  62,654円
   5/15始値  62,878
     高値  63,235
     安値  60,937
     終値  61,409

  ・決算発表シーズンの終盤を迎え、利益確定売りが気になる時期となった。

  ・日経平均の外部環境が目立つ
   ・米国・中国首脳会談は「期待外れ」
   ・イラン戦争の終結は遠のき
   ・トランプ・ファミリーと政権の証券市場での不都合さが目立ちはじめ
   ・米国の孤立化が目に見えて進捗
   これらは、日本株市場にとってマイナス要因となる。

  ・海外短期筋の売り姿勢を注視したい。
   ・海外短期筋は巨大な資金で日経平均を強引に押し上げてきた。
   ・そのため、巨額資金の撤収に時間がかかるため「引き潮」のように、売り⇒買い⇒売りを繰り返しながらの撤収作戦を取るだろう。一気に日経平均が下がると、彼らも大きな傷を受けるためだ。
   ・海外短期筋は、「弱気の強気」と化しており、売り方向を見ていると思われる。5/15の日経平均の動きは、それを反映したものとみる。翌5/18の日経平均は一時▲1,000円超の下落となったが、その後、買いを入れて下げ幅を縮めた。「弱気の強気」を発揮したとみられる所以である。

●3.企業物価は4月に前年比+4.9%上昇し、市場予想+3.0%上昇を大きく上回った(ブルームバーグ)

 1)ホルムズ海峡封鎖の影響で、石油・石炭製品や化学製品を中心に価格上昇が顕在化している。

●4.ホンダ、2026年3月最終損益▲4,239億円赤字(前年+8,358億円黒字)上場来初(毎日新聞)

 1)電気自動車(EV)に注力していたが、北米での需要失速が響いた。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6809 シスメックス   業績好調
 ・7270 SUBARU     業績絶好調 
 ・7309 シマノ      業績好調

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