11月の企業倒産件数は778件、6カ月ぶりに前年下回る
2025年12月10日 14:04
東京商工リサーチが11月度の「全国企業倒産」情報を発表。前年同月からは減少したものの、今後も厳しい状況が続く可能性が示唆されている。
【前月は】10月の倒産件数は965件、2025年では最多に 小規模・零細の倒産も増加傾向
■企業倒産件数は6カ月ぶりに前年同月下回る
8日、東京商工リサーチが11月の「全国企業倒産」を発表した。全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比7.4%減の778件となり、6カ月ぶりに前年同月を下回った。
単月では、2月の764件に次いで2番目に少ない件数だった。1月から11月の累計倒産件数は、前年同月比2.26%増の9,372件となっている。
また10月の負債総額は前年同月比48.56%減の824億300万円となり、3カ月連続で前年同月を下回った。主な大型倒産企業は、中央建設(負債総額:53億8,100万円、以下同じ)、エステーホーム(42億4,800万円)、シーズ(40億9,700万円)、Jericho(中古自転車小売)、TM(15億円)など。
中国との関係悪化が新たなリスクとなりつつあることで、自社で解決しづらい問題が増えた企業の中には、年末の資金調達が厳しい小型・零細企業を中心に倒産件数を押し上げる可能性もある。
■10産業中7産業で前年同月下回る
産業別の倒産件数は、10産業中7産業で前年同月を下回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の250件(前年同月比:17.76%減、以下同じ)。次いで建設業が147件(3.28%減)、小売業が107件(22.98%増)と、ここまでが100件超え。
以下、卸売業が90件(8.16%減)、製造業が85件(14.14%減)、運輸業が35件(7.89%減)、情報通信業も35件(16.66%減)、不動産業が21件(10・52%増)、農・林・漁・鉱業が7件(41.66%減)、金融・保険業は1件(50.00%減)となっている。
都道府県別で最も倒産件数が多かったのは東京都の137件で唯一の100件超え。以下は大阪府が75件、兵庫県が47件、神奈川県と福岡県が各43件、愛知県が42件、京都府が31件、埼玉県が30件と続く。反対に倒産件数が少なかったのは島根県の1件、佐賀県と鳥取県の各2件、山口県、愛媛県、宮崎県の各3件、秋田県、広島県、高知県の各4件など。
■小規模倒産は3カ月ぶりに前年同月下回る
同日、東京商工リサーチは2025年11月の「負債1,000万円未満」倒産状況も発表し、件数は前年同月比19.5%減の33件となり、3カ月ぶりに前年同月を下回った。
単月では3月の31件に次いで2番目に少ない倒産件数だった。また1月から11月までの累計倒産件数は前年同期比5.9%減の474件となっている。
物価高、人手不足、金利上昇などの要因とともに過剰債務で新たな資金調達に苦しむ企業により、倒産件数が再び増加する可能性がある。(記事:県田勢・記事一覧を見る)