大黒屋HD、株価急上昇の謎!?
2025年12月2日 13:52
●大黒屋HD株が急上昇
ブランド品のリユースや質事業を手掛ける大黒屋HD(ホールディングス)の株価が急上昇している。12月1日には188円をつけ、年初来安値だった4月7日の18円から約10倍となった。
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ここ数年、営業損益・経常損益・純損益は赤字が続いており、26年3月期第2四半期までの売上高も計画値を下回るなど、厳しい状態が続いている。
さらに日中関係の悪化でインバウンド需要への懸念が出始めているこのタイミングでの急上昇は、謎が多い。
コロナ禍以降低迷し、1株100円台を割り込むことがほとんどだった大黒屋HDの株価上昇の原因は何だろうか?
●大黒屋HDの変遷
大黒屋HDの中核企業である大黒屋は1947年に創業され、ブランド品・貴金属・チケットの売買を中心とした質屋および古物商であり、金券ショップ・外貨両替も行っている。
2010年以降、中国人観光客を中心にインバウンド需要の恩恵で業績を伸ばしていたが、2019年の英国事業撤退による特別損失で業績が悪化。
2020年のコロナ禍以降、インバウンド需要が消滅し、国内外で需要が減少。資金不足に陥った。
●上昇の要因は業務提携?AI?グローバル化?
株価が約35%上昇した11月27日には、SBIグループを筆頭株主とするキーストーン・パートナー(KSP)との資本業務提携締結と、三菱系のネットワーク活用による事業拡大の可能性も示唆している。
KPS社が12月中旬に子会社化すると見られ、再建への期待が高まる。
大黒屋HDは、6月にAI自動買取機能を発表した時にも株価が上昇する場面があった。買取網拡大への期待も集まる。
同時期に海外の顧客へ商品を販売しやすくするため、世界的決済システム「Stripe」を導入した。言語や通貨の壁を取り払うことができる。
ただ、これらの導入はまだ期待に過ぎず、業績に反映されているわけではない。
短期売買で利益上げることを目的とした投機筋の買いが集まっているとの見方の方が強く、12月2日にはストップ安に転換するなど、安易に乗るのは危険だ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)