「論語と算盤」が社是、渋沢栄一翁の「匂い」を覚える清水建設株とどう向き合うか

2025年11月29日 11:18

 清水建設(1803、東証プライム市場)。社是は『論語と算盤』(渋沢栄一著)だという。「日本の資本主義の父」と呼ばれ約500社の会社設立に携わった渋沢栄一翁が「道徳(論語)と経済(算盤)を両立させるべきだ」と説いた一冊を、何故清水建設は「社是」としたのかは機会を見つけて記したい。

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 ただ清水建設の社是は、こんな点に反映されていると捉えることができる。受注活動では、採算度外視の大型工事は避ける。中小型工事の受注には積極姿勢を示す。あるいは得意分野は建築では「医療機関」、土木では「LNGタンク施行」。

 1804年(江戸/文化元年)に初代:清水喜助(大工)が日光東照宮の修理に参加のため、江戸に身を移す(出身は現富山市)。1838年(天保9年)、江戸城西の丸焼失に伴う再建工事に参加。1858年(安政5年)井伊直弼から、開放地・横浜の外国奉行所の建築を請け負う。1868年(明治元年)、旧幕府の依頼で建設の外国人旅館:築地ホテル完成。1872年(同5年)、後の第一国立銀行(海運橋三井組ハウス)を完成。名大工が実績を評価され、一流の建築業に駆け上がっていった。そんな歴史で始まる清水建設のいまは・・・

 2021年3月期は新型コロナの感染禍による民間工事減で「14.2%減収、25.2%営業減益」-22年3月期は影響を引きずり「1.8%増収、54.9%減益」-23年3月期「30.4%増収、21.0%増益」-24年3月期は公共投資・民間工事持ち直しも建設資材・エネルギー価格・労賃の上昇で「3.7%増収、246億8500万円欠損」-25年3月期「3.0%減収、710億3000万円黒字」。

 そして今26年3月期は「1.8%減収(1兆9100万円)、9.8%増益(780億円)」計画。大手ゼネコン5社に身を置きながら、(経済)環境と闘いつつ紆余曲折はありながら着々とした歩み(21年3月期:30円配⇒今期:44円配予想)といった様相。

 至27年3月期の中計は「売上高:1兆8900億円(24年3月期:2兆55億円)、営業利益:1000億円(246億円の欠損)」。「環境」という波に揉まれながらも・・・。

 では株式投資の対象としてはどうか。本稿作成中の株価は2000円台半ば。予想税引き後配当利回り1.33%水準。4月7日に全体相場の下落の中で1166円まで売り込まれるが、11月26日に2668円:年初来高値まで買われた。判断は読者諸氏に委ねるが・・・。

 過去10年近くの修正済み株価パフォーマンスは2.6倍水準。IFIS目標平均株価は2574円。押し目買いに徹して中長期保有が賢明と映るが・・・。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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