SBI新生銀行のIPOで、SBIHDが目指すものとは?
2025年11月28日 13:15
●SBI新生銀行が12月17日にIPO
SBIホールディングス(HD)傘下のSBI新生銀行が11月13日、東京証券取引所への上場が承認され、12月17日に東証プライムにIPO(新規公開)することが決定した。
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有価証券届出書によると、想定発行価格は1440円で発行総額は約1281億円となる。IPOの規模としてはJX金属に次ぐ2025年2番目の規模だ。
2023年7月にSBIHDがTOB(株式公開買い付け)し、上場廃止したが、わずか2年半後にスピード再上場する狙いは何だろうか?
●SBI新生銀行の歴史
SBI新生銀行は、1952年設立の特殊銀行だった日本長期信用銀行が前身。バブル期の融資拡大路線の失敗で、巨額の不良債権を抱えることになり、1998年に経営破たんし、一時国有化された。
2000年に競争入札により、米企業再生ファンド「リップルウッド」や投資組合「ニューLTBCパートナーズ」に10億円で売却され、社名も新生銀行となり、2004年に普通銀行として東京証券取引所に再上場した。
2021年にSBIHDがTOBしたことで、SBIの子会社となった。2023年にSBI新生銀行と商号を変更している。
●SBIの狙いは?
SBIはTOB実施時に長銀破たん時からの長年の課題であった、投入された公的資金(約2300億円)の返済と経営再建に集中したいということもあり、上場廃止した。
今回の上場は、返済が完了したからとの見方もある。
SBI新生銀行とSBI証券の口座を連携させ、自動的に資金移動させる「SBIハイパー預金」が好調で、わずか1カ月で残高3000億円を突破する人気サービスとなっている。
カードローン「レイク」や、ショッピングクレジット「アプラス」などのノンバンク事業とのシナジー効果により、ハイブリッド型総合金融グループとしての地位を確立しつつある。
2025年3月期は過去最高益を記録するなど、経営再建もクリアしつつある。
SBIHDは、全国の地方銀行との連携を通じてシステムや業務を効率化し、3大メガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)に割って入ろうとする「第4のメガバンク」構想を掲げており、SBI新生銀行を梃子にして実現したい思惑がある。
株価については、再上場であり、吸収金額が大きいことから大幅上昇は期待できないという声もある。
予想PER8.0倍、PBR1.1倍程度と目立つほどの割安感は無いが、今後の成長性、配当金や株主優待などの上場後の期待の方が大きいだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)