円安は止まらない! 次のターゲットは1ドル165円か!?
2025年11月27日 16:59
ドル円相場は160円台を意識しながら、円安トレンドは一層鮮明になっている。市場では「どこまで円安が進むのか」という警戒感が広がっているが、現行のファンダメンタルズを踏まえると、この相場上昇はまだ終わりではない。むしろ次のターゲットは165円である可能性が高い。
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最大の根拠は日米実質金利差の拡大である。表面的な政策金利だけを見れば、日銀が利上げを進めていることで日米金利差がやや縮小するようにも見えるが、重視するのは名目金利ではなく、インフレ率を考慮した実質金利だ。
日本のインフレ率はまだ高く、名目金利からインフレ率を引いた実質金利は依然としてマイナス圏に深く沈んでいる。一方、米国はインフレ率が鈍化する一方で、名目金利は依然として4%前後の高水準にあるため、実質金利はプラス圏を維持している。この実質金利差が埋まらない限り、円高へと反転する力は弱いというのが市場のコンセンサスだ。
政治的背景も円安転換を妨げる要因だ。高市政権は金融緩和維持を支持しており、急激な引き締めによる景気悪化を避ける姿勢が明確だ。仮に年内或いは、来年1回の利上げが実施されたとしても、それだけで円安トレンドを覆すほどのインパクトはない。市場はむしろ「緩やかな正常化は円安容認」のシグナルとして解釈する可能性がある。
日本経済の構造的弱点も無視できない。日本はエネルギー輸入国であり、原油・天然ガスなどの支払いはドル建てであるため、輸入コスト上昇はドル需要増、強いては円安という循環が発生しやすい。
また、米国へのデジタル赤字が拡大している点も重要だ。AI、半導体、クラウドといった高度デジタルサービスは米国企業が独占しており、日本企業は膨大な利用料をドルで支払う構造にあることから、この資金フロー自体がドル高を後押ししている。
加えて、AIブームを起点に成長産業が米国へ集中しており、世界的な投資マネーはNVIDIAをはじめとするテック企業へ流入し続けている。成長と収益機会が米国に偏在している以上、ドル買いの動きは今後も継続しやすい。
日本側による為替介入の可能性はもちろん意識されているが、前回(2024年)と同じ160円水準で大規模介入が行われる確率は高くない。中央銀行が同じ水準で繰り返し介入すると、為替水準の固定化と解釈され、金融市場の自由を損なうことにつながるからだ。したがって160円前半での介入は抑止力として機能しづらいと考えるべきである。
このように、日米金利差、政治的意思、経済構造、投資資金の流れ、そして介入の制約まで踏まえれば、円安は構造的なトレンドと言える。市場が次に意識するのは165円であり、この水準の突破が為替相場の最大の焦点となるだろう。(記事:Osaka Okay・記事一覧を見る)