2025年度上半期の倒産件数は5172件 4年連続で増加
2025年10月11日 11:13
東京商工リサーチが「9月度の全国企業倒産」を発表。企業の倒産件数が高いペースで続いており、さらに資金需要が厳しくなる年末にかけて倒産件数が増える可能性が高いことが分かった。
【前年度は】2024年度上半期の倒産件数、10年ぶりに5000件突破 東京商工リサーチ
■企業倒産件数は4カ月連続で前年同月上回る
8日、東京商工リサーチが9月の「全国企業倒産」を発表した。全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比8.17%増の873件となり、4カ月連続で前年同月を上回った。2025年中では、7月の961件に次ぐ高い水準で、9月としては2年連続で800件台となっている。
また9月の負債総額は同15.27%減の1,124億7,000万円となり、2カ月ぶりに前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産の件数が18件(前年同月:24件)と減少したことで、負債総額の減少につながった。
主な大型倒産企業は、不動産業のペンギン(負債総額:88億3,100万円、以下同じ)、アミューズメント施設運営のネクサスエンタープライズ(65億円)、医療機器製造販売のネオクリティケア製薬(44億7,100万円)、アプリ運営のANA NEO(39億8,000万円)、太陽光パネル業者のソーラークリーニング(23億9,900万円)など。
■10産業中9産業で前年同月上回る
産業別の倒産件数は、10産業中9産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の290件(前年同月比:9.84%増、以下同じ)。次いで建設業が182件(17.41%増)、製造業が101件(3.06%増)、卸売業も101件(4.12%増)で、この4産業が倒産件数で100件超え。
以下は小売業が98件(4.25%増)、運輸業が32件(10.34%増)、情報通信業が30件(25.00%減)、不動産業が26件(13.04%増)、農・林・漁・鉱業が9件(28.57%増)、金融・保険業は4件(前年同月は0件)だった。
都道府県別で最も倒産件数が多かったのは大阪府の145件、次いで東京都の129件でこの2都府が100件超え。以下は愛知県が58件、神奈川県が50件、兵庫県が44件、福岡県が35件、京都府と埼玉県が各34件と続く。反対に倒産件数が少なかったのは島根県が1件、山口県と長崎県が各2件、福井県・鳥取県・愛媛県・宮崎県が各3件となっている。
■2025年度上半期の倒産件数は5,172件で高止まり
同日、東京商工リサーチが2025年度上半期(4~9月)の全国企業倒産を発表した。全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同期比1.51%増の5,172件となり、4年連続で前年同期比を上回った。
負債総額は同49.63%減の6,927億7,200万円となり、3年連続で前年同期を下回った。主な大型倒産は脱毛サロン経営のMPH(負債総額:260億円)、半導体部品製造のJSファンダリ(161億7,900万円)、片岡製作所(116億7,300万円)、不動産業のペンギン(88億3,100万円)、君津ロックウール(87億5,000万円)など。負債総額の減少は、前年にあった大型倒産であるMSJ資産管理(6,413億円)などの反動によるもの。
負債総額こそ反動減となったものの、相変わらず倒産件数は高止まりしており、年末に向けて資金需要が高まることが予測できることから、人手不足や原材料高と合わせて資金調達が厳しい企業の倒産が増える可能性を示唆している。
■産業別ではサービス業他が1,762件で最多
産業別の倒産件数は、10産業中5産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の1,762件(前年同期比:4.07%増、以下同じ)、次いで建設業が1,036件(7.46%増)で、この2産業が倒産件数1,000件超え。
以下は小売業が594件(7.60%増)、製造業が565件(3.41%減)、卸売業が564件(11.73%減)、運輸業が209件(6.27%減)、情報通信業が200件(11.11%減)、不動産業が169件(18.18%増)、農・林・漁・鉱業が64件(10.34%増)、金融・保険業は9件(30.76%減)となっている。
都道府県別で最も倒産件数が多かったのは、東京都の887件。以下、大阪府が665件、愛知県が339件、神奈川県が273件、兵庫県が314件、福岡県が244件、埼玉県が216件、京都府が187件、千葉県が150件と続く。反対に倒産件数が少なかったのは高知県が11件、鳥取県が13件、島根県が16件、愛媛県が21件、長崎県が24件、宮崎県が27件など。(記事:県田勢・記事一覧を見る)