JR九州、「博多駅空中都市プロジェクト」を中止に 工事費が2倍弱に高騰

2025年9月29日 09:19

 JR九州は、博多駅(福岡市博多区)で計画していた「博多駅空中都市プロジェクト」の中止を決めた。在来線上に商業施設やオフィス、ホテルが入る複合施設を整備する計画だったが、工事費が高騰して採算が取れないと判断した。首都圏で相次ぐ工事費高騰による大型開発のストップが、九州にも拡大した格好だ。

 博多駅空中都市プロジェクトは、2019年に「博多駅空中都市構想」としてプロジェクトチームで検討を始め、コロナ禍に伴う見直しを経て2022年に名称を博多駅空中都市プロジェクトに切り替えて計画を公表した。

 施設は博多駅ビル南側約5,200平方メートルの用地に地下1階、地上12階建てのビルを整備し、在来線の線路が2階部分を通過する構造。低層階は商業施設と広場、3~8階はオフィス、9階以上はホテルになる計画で、2028年度末の完成を目指していた。

 建設準備のため、2021年から線路の移動などに着手していたが、数百億円と見込んでいた工事費が2倍弱に膨らむことが明らかになった。計画内容の見直しを検討したものの、現在の高騰した工事費ではとても採算が取れないことが判明、やむなく中止を決めた。

 工事費高騰による大型開発の中止や白紙撤回は、首都圏で相次いでいる。JR中野駅前の中野サンプラザ(東京都中野区)建て替えが白紙撤回されたのをはじめ、新宿駅南口再開発(東京都新宿区)、JR津田沼駅前再開発(千葉県習志野市)が宙に浮いた。

 関西では、大阪メトロと大阪公立大学による森之宮再開発(大阪市城東区)の事業者公募に応募がなく、公募が打ち切られた。北海道では、JR北海道が計画している札幌駅前再開発(札幌市北区)でタワー棟完成時期を延期しており、工事費高騰の影響が全国に広がっている。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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