渋谷の公園通り再開発、空中権譲渡で民間が小学校建て替え 都が本組合移行を認可

2025年9月24日 09:21

 東京都の小池百合子知事は、渋谷区で計画されている公園通り西地区再開発で、再開発組合の設立を認可した。再開発組合は2032年度の完成を目指し、住宅、オフィス、店舗などが入る33階建て複合施設を整備するとともに、渋谷区立神南小学校を建て替える。

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 計画地は、渋谷駅から北西に歩いて約10分の渋谷区役所、渋谷公会堂隣接地約1.4ヘクタール(渋谷区宇田川町、神南)。築50年の老朽化した14階建て分譲マンション「渋谷ホームズ」を取り壊し、高さ約140メートル、地下4階、地上33階建て延べ約7万平方メートルの複合施設と、約1,200平方メートルの広場を整備する。

 複合施設には、低層階に店舗と多目的スペース、オフィス、サービス施設など、中上層階に住宅、地下に駐車場が入る予定。広場の整備で地形の高低差を解消し、区役所周辺の回遊性を高める狙いもある。

 同時に、築60年の神南小学校建て替えでは、建物上空を容積率として利用できる神南小学校の「空中権」を再開発組合に譲り、小学校の建て替え費用を民間にまかなってもらう異例の措置を取る。これにより、神南小学校の容積率が2割程度減る一方、再開発組合は複合施設の容積率を大きく増やすことができる。

 再開発組合は総会を開いて正式に発足したあと、2026年度に権利変換計画の認可を受け、2027年度に建設工事に着手する方針。完成は2032年度を目標にしている。

 渋谷区は神南小学校の空中権評価額を公表していないが、計画を疑問視する地元住民団体が不動産鑑定士に試算してもらったところ、約100億円という評価が出たという。このため、大手開発業者を儲けさせるだけの計画だとして、反対の声が上がっている。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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