日本初! 円建てステーブルコインへの期待は?

2025年9月8日 16:13

●日本初のステーブルコインが9月にも発行

 電子決済を手掛けるベンチャー企業JPYCが、日本初となる円建てのステーブルコインを、9月にも発行する方針を明らかにした。

【こちらも】三菱商事の撤退で、気になる洋上風力発電の行方

 ステーブルコインの発行に必要な、金融庁への資金移動業者登録は既に済ませている。

 金融庁は8月29日に発表した2025年度の金融行政方針で、デジタル技術を活用した金融サービスの発展に向けた取り組みを強化する考えを示しており、その中には円建てのステーブルコインの活用も含まれる。

 日本でステーブルコインが定着する日が来るのだろうか?

●ステーブルコインとは?ビットコインなど仮想通貨との違いは?

 ステーブルコインは、米ドルや金などとペッグされた仮想通貨(暗号資産)の一種である。法定通貨と連動し、価値が安定している。

 ビットコインなどの仮想通貨は、値動きが激しいことで知られるが、ステーブルコインは価格がほとんど変わらないため、値上がり益を期待して保有するよりは、安定的に長期保有したい送金手段として使われる。

 日本では2023年6月1日から改正資金決済法が施行され、「法定通貨と1対1で価値が安定するコイン」が電子決済手段として法的に位置づけられ、発行が認められている。

●ステーブルコインへの期待と不安

 今後は、JPYCで決済手段として使うことができる。マネックスグループもステーブルコインの発行を発表している。

 将来的には手数料が高い銀行での送金に頼らずに、少額でも最短数秒で、安い送金コストにより、国内外へ個人送金が可能となる。

 ステーブルコインの発行者は、保有する裏付け資産から利子収入を得られ、それを利用者の手数料を無料にするといった形で、還元可能だ。

 ただ運営会社が十分な資産を保有しているかなどの情報公開がされておらず、信頼性に問題がある。2022年5月には、米ドルなどと連動するテラUSDが下落し、ビットコインも吊られて暴落したこともあった。

 信頼性にはまだまだ脆弱性が否めず、信頼性が揺らいだ時には、一気に暴落するリスクがある。

 決済手段としての期待はビットコインなどの仮想通貨以上だが、まだまだ課題もありそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

関連記事

最新記事