ビジネス書要約サービス:フライヤーは大賀社長の英語苦手が生みの親

2025年8月14日 14:55

 フライヤー(323A、東証グロース市場)。ビジネス書の要約サービスをサブスク展開。売上高の7割は法人。今年2月に上場。

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 フライヤーを知った時「どう受け止めるか、見方は分かれるのではないか」と 思うのと同時は、どんな背景で起業されたのかに興味を抱いた。現CEOの大賀康史氏により2013年に設立された。大賀氏は「何故、立ち上げたのか」を、こんな風に語っている。

 「小学校3年位から、本に魅了された。戦国時代や明治維新を取り扱った歴史ものを読み漁った。読んでいくうちに、時代に係った人物ものに関心が移り、今度はその陰で活躍した軍師ものに魅せられるようになった。とにかく本大好き人間だった」。

 「大学・大学院は早稲田の理工学部に学んだ。依然として本大好き人間は変わらなかったが、本と全く次元の違う関わり方に直面した。

 とくに大学院時代に、自動車エンジンの研究をしていて海外の論文に多く目を通す必要がでてきた。当然、英語で書かれており英語が大の苦手だったので膨大な論文を読まなくてはならないのは、大きな壁だった。苦労してなんとか読破しても、研究内容とは関係ないなんて言うこともざらだった。

 そんななかで気づいたのが、本の冒頭に数ページにまとめられ掲載されていたアブストラクトやサマリーの存在だった。この部分をきちんと読むだけで、論文が伝えたい主張や自分の研究分野への関わりの有無が分かる。物凄く便利だなと思った。現業の起業に繋がる引き金となった」。

「その後、アクセンチュア(総合コンサルティング会社)などでコンサルタントとして働くなかで、よりそうしたサービスの必要性を実感した。本の要約サービス。多くの社会人の役に立つサービスになると確信した」。

 こうして現業は起業されたわけだが・・・

 フライヤーは現在、累計会員数126万人を突破している。「本の要約サービス」、そして「flier book labo」(オンライン読書コミュニティ:仲間が集い読書を通し学び合う)「flier book camp」(著者や専門家が講師を務めるオンライン講座)も展開されている。

 上場を機に「増収、営業減益」のコスト先行構造から脱する流れが起こってきている。

 公開価格680円に対し初値1178円で生まれたが、未だ公開6カ月弱。時価770円水準/予想PER26・85倍に割安・割高・適当の断は下しがたい。

 まずは今2月期計画「18.1%増収(11億2000万円)、営業利益1億円」の着実な実現を確認したい・・・。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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