三菱重工、過去最高益の要因は⁉

2025年8月13日 11:29

 三菱重工が5日に発表した2025年4‐6月期の連結業績は、前年同期比24.7%増の1041億円となり、4‐6月期としては過去最高益を更新した。株価も6日に上場来高値を記録した。

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 北米で火力発電向けガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)が好調だったことや、工事が好調に進捗する防衛・宇宙などが業績を押し上げた。

 同日にはオーストラリア政府が、次期フリゲート艦の建造について日本の提案を採用し、三菱重工を発注先に選定した。

 三菱重工の快進撃は続くのだろうか?

●三菱重工

 三菱重工は、川崎重工、IHIと並ぶ日本三大重工メーカーであり、船舶、航空機、機械、エネルギー機器、防衛など幅広い分野で事業を展開。三菱UFJ銀行、三菱商事と共に三菱御三家とも言われている。

 1870年に設立された九十九商会が前身で、1887年に国が払い下げた長崎造船所を買収し、造船事業を開始。1934年に三菱重工株式会社を設立した。

 戦後、GHQの指示で分割されたが、1964年から再び三菱重工となった。

 防衛産業分野では、ストックホルム国際研究所(SIPRI)の世界軍需品売上高トップ100(2021年)によれば、世界35位に位置している。

●特に期待の大きい防衛産業とGTCC

 GTCCは、三菱重工が得意とする高効率の高性能大型機であり、2030年までに一定規模で推移する計画である。

 稼働によるCO2削減に加えて、将来的には、水素・アンモニアに燃料転換し、さらなるCO2削減も可能となる。データセンター領域や半導体製造工場向けのオンサイト電源などの需要もある。

 防衛省から直接受注する「プライム企業」の筆頭である三菱重工は、年間契約額1兆5000億円と推計される。2023年度から防衛省は想定利益率を大幅に引き上げており、利益面でも今後高収益が期待される。

 米国トランプ大統領は、日米安保条約を不公平と不満を表明しており、日本に防衛費の増額を今後も要求してくる可能性があることから、三菱重工にとっては追い風となる。

 PER50倍台、PBR5倍台と株価の面では割高ではあるが、それを感じさせない将来性はある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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