中国で店舗閉鎖相次ぐ:ニトリ、長期ビジョンに懸念も、株価も「?」

2025年8月2日 10:57

 ニトリホールディングス(9843、東証プライム市場、以下ニトリ)。家具・インテリアの製造小売りで首位。海外に自社工場も有す。傘下にホームセンター島忠。

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 手元の四季報は業績欄の見出しを【反発】とし、「国内既存店は日用品や家電販売堅調。人件費増や物流拠点の償却費こなし営業益反発」としている。確かに2024年3月期「5.5%減収、8.8%営業減益」/25年3月期「3.6%増収、5.3%営業減益」に対し、今3月期は下半期の幸伸で「6.4%の増収(9880億円)、15.4%の営業増益(1358億円)」計画。

 が、本稿作成時点で計画に「?」を投じる懸念材料が浮上している。

 一つは、第一四半期の国内既存店売上高。4-6月は前年同期比98.0%にとどまった。「要因は、早々の猛暑入り」と天候に起因すると指摘されている。

 そしてなんとも気になるのが「中国での相次ぐ閉店」の現状。

 7月29日の「中国のニトリがひっそりと大量閉店していた・・・似鳥昭雄会長の想像を超えていた、中国市場の悲惨な現状」とする、真壁昭夫:多摩大学特別招聘教授のレポートはこう言及している。

 レポートは「100円ショップ:ダイソーや三越伊勢丹の中国撤退」を記した上で、ニトリに関しても「家具のニトリも積極展開してきた中国事業を縮小した。1月17日には106店舗あったが、6月末時点で83店舗まで減少している。僅か半年で23店舗も閉店した」とし、「5月に実施された前期の決算説明会では、不況にある中国で大型店舗を出店したことが減益の一因となったと似鳥会長は述べ、自身の判断の誤りに反省の色を見せていた」と言い及んだ。

 今後の動向を見定めなくてはならないが、アジア戦略の達成に重石となってくるのは必定。「2032年ビジョン」として「アジア市場148店舗」を掲げ「内外3000店舗:売上高3兆円」を標榜している。

 前記の前々期・前期の減益を受け株価も冴えない展開。本稿作成中の株価は1万2940円水準。予想税引き後配当利回り1%弱。年初来高値1万9255円(1月17日)から7月22日の1万2740円まで値を崩し、年初来安値水準での揉み合い場面。過去9年半余の修正済み株価パフォーマンスは27%余。株主を意識した対応策(今期も1対5の株式分割予定)も執られている。

 が、IFIS目標平均株価は「割安」と振られ1万6822円が算出されているが算出者の9人中3人が強気も6人は中立と立ち位置は異なっている。しばらくは様子見が賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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