京都・宮津市役所、新庁舎の検討委員会が商業ビルへの移転を答申
2025年7月27日 21:51
京都府宮津市役所の新庁舎検討委員会(委員長・青山公三京都府立大名誉教授)は、中心市街地にある民間商業施設のミップルビル(宮津阪急ビル、宮津市浜町)へ移転することが望ましいとする答申を、城﨑雅文市長に提出した。市の予算支出削減と中心市街地のにぎわい創出を両にらみした結果で、城﨑市長は「答申内容をしっかりと受け止め、市として判断する」とコメントした。
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答申は5階建てミップルビルの2~4階を市庁舎として活用することが望ましいとし、
・ミップルビルの商業面積が減ることで市民の利便性が損なわれないようにする
・市庁舎が移る浜町・島崎エリアを新たなにぎわい創出シンボル地区として、再開発の方向性を定めてほしい
などの注文を付けた。
現在の宮津市役所は、ミップルビルから歩いて7、8分の柳縄手、本町地区にあり、延べ床面積が約8,700平方メートル。高度経済成長期の1961~74年に完成した建物で、手狭なうえ、バリアフリー化できておらず、新耐震基準に適合していない。このため、福祉・教育部局と図書館、子育て施設が、2017年度にミップルビルの3、4階に移転している。
検討委員会は2023年から建て替え、耐震改修、移転などを比較検討した。その結果、各階で約4,000平方メートルの床面積が確保できるうえ、費用が安上がりなミップルビル入居を選んだ。
民間商業施設に市庁舎が入る事例は、地方で中心市街地の空洞化が深刻さを増した2000年代から見られるようになった。中心市街地に人を集められることから、さくら野百貨店跡を改修した宮城県石巻市役所、福田屋百貨店跡に入った栃木県栃木市役所など全国で相次いだが、京都府では初めてになる。
宮津市は日本海に面した京都府丹後地方にあり、人口約1万5,000人。日本三景の天橋立で知られるが、急激な人口減少で中心市街地が活力を失っている。(記事:高田泰・記事一覧を見る)