2025年上半期の企業倒産は4990件、2014年以来の高い水準 東京商工リサーチ

2025年7月11日 09:13

 東京商工リサーチが2025年6月の「全国企業倒産件数」を発表。円安、物価高、金利上昇などを要因として、今後も企業倒産が高い水準で続く可能性が高いことが分かった。

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■6月の企業倒産件数は848件、2カ月ぶりに前年上回る

 8日、東京商工リサーチが6月の「全国企業倒産件数」を発表した。負債額1,000万円以上の倒産件数は、前年同月比3.41%増の848件となり、2カ月ぶりに前年同月を上回った。6月の倒産件数は、4年連続で前年を上回っている。

 負債総額は同4.27%減の6,902億600万円となり、4カ月連続で前年同月を下回った。主な大型倒産企業は、君津ロックウール(負債総額:87億5,000万円、以下同じ)、タッパーウェアブランズ・ジャパン(38億6,500万円)、コーワ(29億4,400万円)、まきのとコーポレーション(29億円)、飛騨酪農農業(24億8,500万円)など。

 小規模企業の倒産が大半を占める傾向は変わらないものの、負債総額が10億円以上の倒産件数が18件(前年同月:16件)となるなど、大型企業の倒産も高止まりしている。トランプ米大統領による関税の影響により、不透明感はさらに増しているという。

■10産業中4産業で前年上回る

 産業別の倒産件数は、10産業中4産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の286件(前年同月比:変わらず、以下同じ)。次いで建設業が178件(14.83%増)、小売業が102件(21.42%増)、製造業が101件(24.69%増)で、ここまでが倒産件数100件超え。

 以下は、卸売業が87件(17.14%減)、運輸業が33件(13.15%減)、情報通信業が32件(30.43%減)、不動産業が22件(46.66%増)、農・林・漁・鉱業が6件(25.00%減)、金融・保険業は1件(50.00%減)だった。

 都道府県別で最も倒産件数が多かったのは、東京都の161件で唯一の100件超え。次いで大阪府(99件)、兵庫県(59件)、愛知県(55件)、京都府(43件)、福岡県(42件)、神奈川県(38件)と続く。

 反対に倒産件数が少なかったのは、高知県(1件)、香川県・長崎県(各2件)、福井県・鳥取県・島根県・大分県(各3件)など。

■上半期の倒産件数は4期連続で前年同期上回る

 2025年上半期(1-6月)の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、前年同期比1.19%増の4,990件()となり、4年連続で前年同期を上回った。件数としては、2014年上半期(5,073件)以来の高い水準となっている。

 また負債総額は同4.27%減の6,902億600万円で、3年連続で1兆円を下回った。主な大型倒産は丸住製紙(負債総額:590億円)、FUNAI GROUP(262億1,500万円)、君津ロックウール(87億5,000万円)、ロイヤル(83億3,000万円)、日興電子(75億8,000万円)など。

 金融機関の金利は上昇傾向にあり、物価上昇や金利負担で企業を取り巻く環境は厳しくなるとみられ、秋口以降に企業倒産が増える可能性があるという。

■上半期の小規模・零細企業倒産は3年ぶりに前年同期下回る

 2025年上半期(1-6月)の「負債1,000万円未満」倒産件数は、前年同期比4.2%減の250件で、3年ぶりに前年同期を下回った。

 1、3、4、5の4カ月で前年同月を下回ったものの、2年連続の250件超えと、依然して高い水準が続いている。140円台の円安水準や物価高、金融機関の金利上昇により、小規模・零細企業にとっても「厳しい状況が続く」という。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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