令和の米騒動で株高の米卸売業者
2025年6月25日 09:27

●米価格高騰の中、米卸売業者が最高益
2024年から続く米価格の高騰は、“令和の米騒動”と言われ、連日マスコミで取り上げられている。
【こちらも】ispace株急落!? 期待先行の危うさ
そんな中、米卸大手の木徳神糧が2025年12月期の連結業績見通しを上方修正。売上高も純利益も過去最高となる見通しだ。
米卸売などの食品部門が売り上げの50%を占めている倉庫の準大手のヤマタネや、飲食店大手でコメ卸を手掛ける杵屋も、大幅な増収増益となった。
一部消費者からは、「米高騰は卸売業者のせい」という声もあるが、米価格高騰がなぜ卸売業者の増収増益となるのだろうか?
●米価格高騰の要因は?
米価格の高騰は深刻で、小売価格は5キロ4000円を超えるなど、1年前から比べて倍の価格となっている。
価格高騰の原因は様々とあるが、2023年の猛暑で2023年産の米供給が低いことや、その時期から新型コロナウイルスの制限緩和による外食需要、インバウンド需要の復活で、米需要が急激に回復したことなどが挙げられる。
そもそも米は、1970年代から供給過多が問題になっていたことで、政府が進めてきた減反政策(2018年廃止)により、供給不足に陥ったという指摘もある。
●備蓄米放出でどうなる?
日本では平成の米騒動後の1995年から、米の備蓄を行ってきた。
5月には失言で辞任した江藤拓氏に代わり、小泉進次郎氏が農林水産大臣に就任。政府備蓄米50万トンを、それまでの一般競争入札から変更し、随意契約で放出した。
備蓄米は5キロ約2000円で販売され、スーパーに朝から列をなして買いに来る客の様子がニュースやワイドショーで放送された。
備蓄米の放出は3月から続けており、直近では4週連続で米平均価格は下落し、5キロ3000円台となったが、それでもまだ高止まりが続く。
卸売業者が買いだめしているとの噂もあるが、そもそも米卸売業者は薄利多売で運営しており、流通コストや管理コストを下げることは容易ではない。
木徳神糧の株価は年初から3倍近くになり、ヤマタネの株価も1.5倍と、株価への期待も高い。PER、PBRで見てもまだまだ割安ではある。
株価と同様に米価格も先を見通すことは難しく、いつまで上昇相場が続くかは分からない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)