竹中工務店、センシンロボティクスに出資 建設現場向けロボ制御などの開発を加速
2025年6月14日 20:18

竹中工務店は10日、ロボットやドローンの制御技術などを持つセンシンロボティクスと資本業務提携契約を結んだと発表した。
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センシンロボティクスは、2015年設立のスタートアップ企業で、建設現場の作業や設備点検などを省力化するソリューションを手掛けている。業務提携により、建設ロボットに関する技術開発や基盤システムの拡充などを加速させる。
両社は21年から建設現場の生産性を高める技術開発を共に進めており、今回の締結に至った。
開発基盤にはこれまで、センシンロボティクスが独自開発した開発プラットフォーム「SENSYN CORE(センシンコア)」を活用。ロボットの走行ルートの計画作成や自動制御、データ管理、AI解析などの機能を組み合わせたプラットフォームで、短期間でアプリケーションを開発できる。
過去には、位置特定が難しい屋内環境でのドローンの自律飛行を可能にする、BIM(3次元で建物モデルなどを構築・管理するシステム)を用いたソリューションを開発。またゲーム機のコントローラーで、遠隔地のロボットを操作できるシステムなども構築した。
24年には、国土交通省による日本全国のデジタルツインの構築を目指すプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」に共同で参画。3D都市モデルを用いて、ドローンの位置特定が難しい都市部の高層ビルの谷間での自律飛行を検証した。実証実験では、屋内外問わずビル谷間で自律飛行できる旨を確認したという。
建設業界では高齢化や担い手不足が課題で、これまでもロボット開発が進められてきたが、個社での取り組みが主だった。そうした中、21年9月に鹿島建設、清水建設、竹中工務店を幹事会社とした「建設RXコンソーシアム」が発足し、ゼネコン計16社が参画。
施工現場を支援・効率化するロボットやIoTアプリなどの共同研究開発と技術の相互利用を目的とした組織で、建設業界全体で生産性の向上を目指している。23年6月には大成建設が加わり大手ゼネコン5社が揃った。現在は正会員に、計30社のゼネコンが名を連ねている。
コンソーシアムの発足をけん引したのは竹中工務店だ。19年12月に鹿島建設と技術連携をはじめ、20年10月に清水建設が参画。業界を巻き込むコンソーシアムの立ち上げに至った。センシンロボティクスも協力会員としてコンソーシアムに参加している。
今回の業務提携で両社は今後、現場環境の改善につながる検査の自動化や遠隔操作などの技術開発を進める。また双方の技術・ノウハウを生かしながら、竹中工務店が展開するBIMデータを活用したロボット制御の基盤システム「建設ロボットプラットフォーム」の機能拡充も目指す。(記事:三部朗・記事一覧を見る)