特殊土木で秀でたライト工業は、中計達成・新中計期待で中期構えが賢明か

2025年4月25日 09:15

 ライト工業(1926、東証プライム市場)。特殊土木に強み、とされる。阿久津和浩社長自らが発信しているように「創業(1943年)以来、特殊技術の開発・導入を積極的に進め、専門土木分野で国土の防災やインフラ整備を通じ社会に貢献」という企業。

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 専門土木工事は具体的には「斜面(法面)対策工事」「地盤改良工事」をさすが、この分野では日特建設(1929、東証プライム市場)と双璧。法面とは人工的・自然に発現した斜面。例えばそこで起こる「落石/崩壊/地滑り」などを抑止する工事には、「スターディフレーム工法」と呼ばれる特異技術で対応している。

 そもそもライト工業に惹かれた理由は、ホームページでも取り上げられている「軟式野球部」の存在。「天皇杯で3回、国体で5回(3連覇・2連覇)の優勝」と誇らし気に記されている。「特殊土木に強み」と、硬式野球でなく「軟式野球の名門」が妙に似合う。

 愚息がかつて軟式野球の東京大会を制し、全国大会に駒を進めた。当時私はチームの「コーチ補佐」。息子らを励ます意味で軟式野球史を調べた。その折に知ったのがライト工業・軟式野球部のこんな快挙。1983年の天皇賜杯全日本軟式野球大会決勝で「延長45回に及ぶ死闘を制し日本1になった」という事実。愚息らのチーム全員に伝えた(全国大会では3回戦で敗北したが・・・)。爾来、私はライト工業のファン。

 好財務企業である。有する豊富な内部留保を背中に、今2025年3月期計画を含め5期間に限ってみても毎期増配。21年3月期の「9円増配50円配」が今期は「5円増配75円配」。投資家にも優しい。ちなみに今年も「12月30日までに330万株・70億円を上限に自己株取得計画」である。

 今25年3月期は3期間の中計の最終年度。23年3月期比「9.6%増収(1200億円)、2.3%営業増益(135億円)」を掲げているが、第3四半期時点の実績は「890億8600万円、94億2200万円」。下期集中型の収益構造をカウントしなくても、達成は十二分に射程内。早くも次期中計の目標が「PBR1.5倍以上。DOE6%・配当性向50%以上」とする方針と伝えられている。

 本稿作成中の株価は2600円台入り口。予想税引き後配当利回り2.3%水準。1月21日安値(2141円)から2月13日の高値(2709円)まで買われた後も、トランプ関税相場の中でしっかりした値持ち状態。IFIS目標平均株価は算出者の見方が分かれている。2546円。好配当利回りを享受しながら、前向きな中長期構えが賢明か・・・ (記事:千葉明・記事一覧を見る

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