リフォーム市場中堅:ニッソウが大手を追う手立てはM&A
2025年4月23日 10:13
ニッソウ(1444、東証グロース市場)。首都圏で賃貸住宅・事務所の原状回復工事などを、中小不動産会社から受注する施工業者。具体的には、以下を施行している。
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<原状回復工事>: 年間1万件以上の工事実績を有する。30年以上の経験を重ねている。主たる場所はキッチン/フローリング/壁紙/浴室/洗面化粧室/トイレ/玄関まわり。「長らくの経験に基づいた対応で、賃借人の満足度が変わり、結果として空室率の改善に繋がっている」と、訴求している。
<空室対策リノベーション>: 経年に伴い劣化したシステムキッチンなどをグレードの高い物に変えたり、間取りを使いやすい物にするなどが主体。
<ハウスクリーニング>: 空室となった賃貸物件の入居者募集に際しての、原状回復工事を指す。が、入居中に発生する(蛇口の水漏れ、エアコン故障)不都合への対処も範疇。
私は「ニッソウ」の社名は上場以前から耳・目にしていた。宣伝に積極姿勢を示していた。例えば、再生版時代劇(遠山の金さん/暴れん坊将軍/三匹が斬るetc)のCMをよく耳にした。
斯界を知るアナリストは、「大手企業対策や顧客への認知度向上」と説明したが、業界は「知名度」が最優先する世界であることは事実。
住宅リフォーム市場は、業界専門紙では「2023年で、約6兆2000億円」としている。また市場調査で知られる矢野経済研究所でも「25年で約7兆円、30年には約7兆5000億円」と予想している。着実な市場といえる。
また賃貸住宅のリフォームに限ってみても業界首位の積水ハウスで24年度は、前年度比6%増収の1855億円/2位の大和ハウスで2倍強の1730億2000万円と大幅に伸ばし/ヤマダHDなども900億円に急接近という状況にある。
大和ハウスではこんな詳細の資料を用意している。<過去のピークは2013年度で受注高1兆1863億円、リフォーム市場シェア25%/20年度7494億円23%>。かつ、こう言及している。「賃貸住宅市場のリフォーム・リニューアル市場は受注額で7000億円を下回ることはなく、近年は8000億円前後で堅調に推移している」。
ニッソウの収益動向は、今2025年4月期は「22.3%増収(57億2200万円)、97.7%営業増益(1億1100万円)」計画。23年7月期に子会社化したヤナ・コーポレーション(リフォーム企業)が連結化した効果や、不動産事業で子会社化した日本リゾートバンクの寄与が確認できる。M&Aの活用で先行・大手企業との差を少しでも埋めていく流れだ。
本稿作成中の時価は2400円水準。22年7月25日の公開初値:1780円に対して4割方上値にあるがまずはM&A戦略の今後の確認、そして配当開始を待つべきか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)