JR東日本スタートアップ、地域事業支援特化の新会社設立 第1号はクラフトサケ事業

2023年6月9日 16:03

 JR東日本スタートアップは8日、地域に特化した出資と協業推進を行う「JR東日本ローカルスタートアップ合同会社」を設立すると発表した。JR東日本スタートアップはJR東日本のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)で、これまでオープンイノベーション活動などを通じてスタートアップ企業の事業支援を手がけてきた。新会社では地域事業を推進するローカルスタートアップ企業を対象とし、事業推進をサポートする。

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 新会社の投資第1号案件は、「クラフトサケ(Craft Sake)」という自由な酒造りを手がける会社、haccoba(ハッコウバ)だ。福島県南相馬市で2020年2月に設立し、日本酒の「再編集」に取り組んでいる。提供するクラフトサケは、日本酒をベースにクラフトビールのカルチャーを取り入れたもの。原料には米や米こうじを使用し、発酵過程でクラフトビールのようにハーブやスパイスなどを加えている。

 クラフトサケの第1弾は、ビールの原料ホップを加えた商品。東北の一部地域に伝わっていたどぶろく製法を用い、ビールのドライホップをかけ合わせたという。その後もチャイ、カカオ豆の外皮、味噌、ワインの搾りかす、シナモンやベルガモットなど、様々なかけ合わせで商品を展開。商品は、クラフトチョコレート会社や醤油会社などとコラボレーションして生み出している。

 日本でも酒造りに製造免許が必要になるまでは、一般家庭で酒造りを楽しんでいた時代があった。同社はそうした自由な酒造りが日本の発酵文化の源流だと考え、様々なジャンルとコラボレーションを実施。商品展開を通じて、発酵という日本の伝統文化を広めることも目指しているという。

 JR東日本ローカルスタートアップは、haccobaに出資し事業成長を支援するとともに、協業体制をとる。同社は出資対象を、地域活性に資する事業であることに加え、JR東日本グループとの事業シナジーを見込める事業者と設定している。今回の取り組みでは今後、同じ地域で無人駅を活用した駅舎醸造所などの展開も予定。地域に人が移動するような流れを作ることを目指していくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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