ヤドカリの家を「建て増し」する新種のイソギンチャク 東大などの研究

2022年4月27日 11:47

 イソギンチャクの中には、ヤドカリの家の上で共生関係を営む種があることはかねてより知られていたのだが、今回、そのヤドカリの家の構造体を、自らの分泌液を硬化させて増大する新種が発見された。東京大学大気海洋研究所附属国際・地域連携研究センターの吉川特任研究員らが中心となった研究グループによる発表である。

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 イソギンチャクというのは岩の上などにくっついて暮らす、海の生物だ。ほとんどのイソギンチャクは軟体動物であるが、数あるイソギンチャクの仲間の中で3属だけ、殻を作るグループがある。今回見つかったものはその1つ、キンカライソギンチャク属の新種である。

 今回の研究では、三重県の熊野灘と、静岡県の駿河湾の水深200~400メートルの海底において、ジンゴロウヤドカリの棲む貝殻に共生するイソギンチャクを採取した。形態やDNAなどの分析によって、これは日本近海では初めて見つかったキンカライソギンチャクの仲間であると同時に、同属の既知の4種とは異なる新種であることが判明。

 イソギンチャクの仲間で他の生物と共生関係を持つものは多くいるのだが、この新種はどうやらジンゴロウヤドカリとの間に強い共生関係を築いた種であるという。さらに、自身の分泌物によって殻のようなものを作り出す性質を利用して、ジンゴロウヤドカリの棲む貝殻を強化する性質を持っているとみられる。

 この種は、海洋表面から深海に沈降する有機物、専門的にはマリンスノーというのだが、それらを食べるのに適した構造を持っているらしいことも明らかになった。

 なお同種は、スタジオジブリの映画『ハウルの動く城』の原作となったことでも知られる小説『魔法使いハウルと火の悪魔』に登場するカルシファーという火の悪魔の名前にちなみ、Stylobates calciferという学名を与えられ、新種として登録記載された。

 研究の詳細は、Biological Bulletin誌に、4月25日付で掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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