135億光年の彼方、最も遠い銀河が発見か 東大や早大などの研究

2022年4月8日 15:42

 これまでに発見されたもっとも遠い銀河はGN-z11と言い、我々のいる場所から134億光年離れている。しかし今回、それよりさらに遠い、135億光年の彼方の銀河が発見されたかもしれない、と言う。

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 現在、国際的な天文学研究の中心にあるハッブル宇宙望遠鏡で観測できる光の波長は、1.7マイクロミリメートルまでである。この数字で捉えることのできる遠方銀河は134億光年が限度であった。135億光年の距離になると、観測波長が1.7マイクロミリメートルを越えてしまうためだ。

 しかし、地球上にある地上望遠鏡を用いれば、1.7マイクロミリメートルを超える波長の観測を行うことはできる。もちろん地上望遠鏡は一般論から言って、宇宙望遠鏡よりも観測そのものの感度で劣っており、暗い遠方銀河の探索には不向きだとこれまで考えられていた。

 今回、東京大学宇宙線研究所の播金優一助教や、早稲田大学理工学術院先進理工学部の井上昭雄教授らを中心とする国際研究チームは、理論的に予測されているよりも明るい銀河が、135億光年の彼方に存在していれば観測が可能であるという点に目を付けた。そして、あえて地上望遠鏡のデータを使って、135億光年彼方の銀河の探索を始めたのである。

 探索データは、すばる望遠鏡、VISTA望遠鏡、UK赤外線望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡の1200時間を超える観測データの中から抽出された、70万を越える天体データである。この中から発見されたのが、今回の発見の鍵となるHD1と呼ばれる銀河候補だ。

 HD1は135億光年先に銀河があるならこのように観測されるはずだ、という性質を備えていた。そこで、ALMA望遠鏡を用いてさらなる観測を行い、これが99.99%の確率で「135億光年の彼方に存在している」という確証を得たのである。

 HD1の正体はまだほとんど不明で、星形成中の銀河だとも活動的なブラックホールだとも予測されている。いずれにせよ、昨年打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって、さらなる観測が行われる予定となっている。

 なお、研究の詳細は、The Astrophysical Journalに掲載される。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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