Y's 2021年春夏コレクション - “私の装い”を作る衣服たち

2021年1月20日 09:16

 Y's(ワイズ)は、2021年春夏コレクションを発表した。

■“Y'sらしさ”に原点回帰

 「TRUTH」をテーマに据えた今季は、“Y'sらしさ”に立ち戻った原点回帰のシーズン。ワークウェアやミリタリーといったユニフォームをベースに、気負いなく着られる粗野でタフな表情のウェアを展開。無骨さやマスキュリンなムードの中に、しなやかな質感の素材や印象的な色の濃淡、抽象的な模様、細かい糸のディテールを組み込むことで、ラフさとは対照的な“繊細さ”が落とし込まれているのが特徴だ。

■独自の“装い”を構築する着こなし

 アイテムの1つ1つはシンプルな一方で、意外性のあるユニークなコーディネートのルックからは、様式や用途の定まった“ユニフォーム”の概念から脱して独自の“装い”のスタイルを形作る意志や、着こなすことの楽しさが見て取れる。たとえば、マニッシュなブラックのテーラードジャケットは、サスペンダーパンツや洗いをかけたジーンズにタックインすることで、大胆さや無骨さを感じさせるスタイリングに。

 また、ストライプのダブルブレストジャケットには、結び目のモチーフがアイキャッチなベストとミニマムなショートパンツを組み合わせて軽快に着こなしている。様式にとらわれず、フォーマルな雰囲気と気軽さの間を軽々と行き来するようなコーディネートを提示した。

■クラフトで表現される無骨さ

 粗い空気感は、クラフトによってもたらされている。真っ白なシャツの上から羽織ったデニムのノーカラーコートや、デニム地で仕立てたノットベストは、所々断ち切り仕様に。ブラックのシャツドレスの背面には、まるでこれから何かを縫うかのような形で唐突に糸が1本あしらわれている。

 また、着古したかのようなグレーのコートは、製品染めを施すことで豊かな風合いを引き出した。ベージュのシャツドレスには不均一な穴を開けたニットをレイヤードし、“ボロルック”を彷彿させる佇まいに仕上げている。

■布地と呼応する転写・グラデーション

 さらに、浮かび上がるような転写プリントも散見されたポイントだ。ホワイトのシャツドレスに重ねたノースリーブドレスには、ステンドグラスの柔らかな光を表現。ブラックのブラウスやスカート、ドレスには、断片的なステンドグラスモチーフを歪んだ形で投影することで、流れるような布地の動きと相まってより抽象的な印象を放っている。

 グラデーションも転写と同様に、布地の流れと呼応している。徐々にブラックからブルーへと移り変わるシャツやワイドパンツは、ドレープ感と連動して奥行きのある表情に。ネイビーとグレーのグラデーションを施したスカートもまた、布の落ちる方向に向かって色が淡く移ろい、情感のある佇まいを演出する。

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