新型コロナが無嗅覚症を生むメカニズム 米ハーバード大が突き止める

2020年7月28日 08:36

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者で咳や熱などの症状を示さないが、味覚や嗅覚に異常がみられる無症状に近い患者が存在する。米ハーバード大学は24日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が無嗅覚症を生み出すメカニズムを発見したと発表した。

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■新型コロナ患者が経験する無嗅覚症

 一時的な無嗅覚症は主要神経症状のひとつだ。新型コロナウイルス感染者の初期症状のひとつに、無嗅覚症が挙げられる。だがこうした症状は一時的であることがこれまでの経験的なデータから判明している。

 新型コロナウイルスと他のウイルスの感染者を比較すると、無嗅覚症は27倍に対し、熱や風邪の兆候がある患者は2.2~2.6倍に留まる。その一方で、多くのウイルスが鼻詰まりを引き起こすことで無嗅覚症をもたらすのに対し、新型コロナウイルスは鼻に刺激することなく、嗅覚に異常を与えるという。

 加えて、無嗅覚症からの回復も数週間で済むなど、他のウイルス感染の場合と比較し数カ月早いことが判明している。こうしたことから、嗅覚や味覚などに異常が発生する患者について調べることは、熱や咳といった一般的な症状以上に新型コロナウイルス感染症を予測することに役立つという。

■感覚ニューロンに働きかけない新型コロナウイルス

 米ハーバード大学の研究者らから構成されるグループは、新型コロナウイルスが攻撃する嗅覚細胞の種類を特定した。新型コロナウイルスはエンベロープにあるスパイクタンパク質が、ヒト細胞のACE2受容体と結びつくことで、ヒトの体内へと侵入することが明らかになっている。

 だが今回、嗅覚の感覚ニューロンは、ACE2受容体をエンコードした遺伝情報を発現しないことが判明した。代わりに、一部の幹細胞や血管細胞のように、嗅覚の感覚ニューロンに対し代謝などのサポートを与える細胞で、ACE2受容体が発現されることが明らかになった。

 研究グループによると、新型コロナウイルスは直接ニューロンに感染するのではなく、サポートする細胞の機能に影響することで、感染者の嗅覚が異常になることを示唆するという。今回の研究結果は、新型コロナウイルスが血管細胞に影響を及ぼすことで脳機能に害を与えるという仮説とも整合的だ。研究グループはこの仮説の検証にはさらなる調査が必要だとしている。

 研究の詳細は、Science Advancesに24日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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