ノーベル賞、今年は晩餐会を中止 授賞式はコロナ拡大防止に配慮した形に

2020年7月23日 07:37

 ノーベル賞の受賞者らを招いて毎年12月に開催されている晩餐会が、今年は中止となる。ノーベル賞を主催するノーベル財団が21日に発表した。新型コロナウイルス感染症の流行終息が見通せない中での措置。授賞式は行われるが、感染症の拡大防止に配慮し、今までとは異なる形式となる。

 ノーベル賞の授賞式は例年、アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日に、平和賞以外の部門はストックホルム、平和賞はオスロで行われている。2020年も日程は例年通りだが、ソーシャルディスタンスに配慮し、新しい形式での開催となることが予定されている。ノーベル財団は、会場には受賞者の一部しか出席できない可能性や、受賞者が誰も出席できない可能性も考慮して検討している。

 授賞式前後の期間には、「ノーベルウィーク」として様々なイベントが執り行われるのが通例だ。例年であれば、受賞者による記者会見のほか、研究の成果や意義などを受賞者自身が伝える記念講演「ノーベルレクチャー」などが行われる。多くの人が訪れる人気のイベントとなっているが、今年のノーベルウィークについては適切な在り方を現在検討中。

 晩餐会は、ノーベルウィークの最後を飾るイベントとして開催される。受賞者やその家族など1,300人ほどのゲストがストックホルムの市庁舎に招かれ、スウェーデン王室も参加するのが通例だ。各国のメディアから毎年注目を集めているが、2020年は感染症が流行している現状を踏まえ中止となることが決定した。スウェーデンでの晩餐会が中止となるのは、ソ連のハンガリー侵攻への抗議として中止された1956年以来。

 ノーベル財団の事務局長ラーシュ・ヘイケンステーン氏は、「今年は、受賞者たちの研究成果に注目することがいつも以上に私たちを鼓舞し、未来への希望となるだろう。感染症の流行が続いている中であり、従来とは異なる形だが、受賞者の発見や貢献に対しては今年も変わらず敬意を表する」と語っている。

 なお、ノーベル財団によると、2020年の受賞者発表期間は10月5日から12日。例年はノーベル博物館などストックホルムの複数の会場でイベントが行われるが、これについても今年は感染症の拡大防止に配慮する。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る

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