超大質量ブラックホール誕生のメカニズムを説明する有力説 英大学が提示

2020年7月17日 17:18

 われわれの住む天の川銀河を含め、多くの銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在すると考えられている。だがこうした超大質量ブラックホールが誕生したメカニズムは謎のままだ。この謎を解く発見を、英カーディフ大学の研究グループが行っている。

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■超大質量ブラックホールが誕生する仕組みを説明する2つの説

 恒星が辿る生涯はその質量によって異なる。恒星は水素を燃料に核融合で燃え続けるが、重元素が次第に生成されることで膨張する。大質量星の場合、最終的には自らの重力に耐えきれず、超新星爆発を起こしたのちブラックホールが誕生するケースがある。

 このようなブラックホールよりも遥かに質量の大きなブラックホールが、銀河の中心に存在すると考えられている。2019年春にM87星雲の中心にある超大質量ブラックホールの撮像が公開されたことは、まだ記憶に新しいだろう。だがこうした超大質量ブラックホールがどのように誕生したかについては、現在も意見が分かれる。

 超大質量ブラックホールが誕生した仕組みに関して、2つの説が有力だ。太陽の100倍程度の質量をもつ恒星から誕生したブラックホールの「種」が、ガス雲を取り込むことで超大質量ブラックホールへと成長したとするのが1つ目の説だ。

 もう1つの説は、太陽の数十万倍から数百万倍の質量をもつ恒星から、直接超大質量ブラックホールが誕生したとする「直接崩壊」説だ。どちらの説が正しいかはまだ結論が出ていない。

■日本の電波望遠鏡が謎の解明に貢献

 カーディフ大学の研究グループがこの謎を解くために着目したのは、超大質量ブラックホールの下限だ。1,000万光年彼方にある銀河「NGC 404」に存在する「ミラク・ゴースト」と呼ばれるブラックホールは、太陽の数十万倍程度の質量をもち、下限の候補だと予想される。

 研究グループはこの超大質量ブラックホールを、国立天文台が運営するアルマ望遠鏡を使い観測した。アルマ望遠鏡は宇宙空間内の「冷たい」天体からの光を検出するのに有用だ。

 観測の結果、超大質量ブラックホールの周囲にはガス雲が渦巻いており、ミラク・ゴーストが吸い込んでいる最中だと判明。これは、直接崩壊説では説明できない超大質量ブラックホールが一部存在することを示唆するという。

 「種」説にも謎が残る。ビッグバンの数億年後に現れた超大質量ブラックホールも遠方銀河で発見されている。非常に短い期間で超大質量ブラックホールへと成長した可能性があるが、これを銀河の進化モデルで説明するのは難しいという。

 研究グループは、高解像度をもつアルマ望遠鏡のような装置のおかげで、銀河中心の超大質量ブラックホールが明らかになったとしている。

 研究の詳細は、王立天文学会月報に14日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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