熊本大、細胞の老化を防ぐ酵素を発見

2020年6月26日 07:04

 高齢化の進む日本。平均寿命が今後も延びると予想されるため、健康を維持しつつ年齢を重ねることが求められる。熊本大学は24日、細胞の老化を防ぐ役割をもつ酵素を発見したと発表した。

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■いまだ不明な老化メカニズム
 生物の機能や構造の基本単位が細胞だ。ヒトにおいて数十兆個も存在するとされる細胞は、細胞分裂を繰り返すが、時間が経つとその機能が低下し増殖が止まる。こうした細胞の老化が、健康や寿命に大きく関与すると考えられている。

 放射線や紫外線などによる物理的なストレスや、薬による化学的なストレスは細胞内のDNAに損傷を与える。これにより細胞の老化が進行すると判明している。だが老化のメカニズムについては謎が多いという。

■遺伝子の働きを高める酵素が細胞の老化を防ぐ
 熊本大学の研究グループが注目したのは、「エピジェネティクス」と呼ばれる遺伝子機能のオンオフを司る制御機構だ。細胞内のDNAの配列を変えることなく、遺伝子の機能をオンオフするエビゲノムのひとつである酵素NSD2に焦点を絞った。この酵素は遺伝子の働きを高めると考えられているが、老化との関連は知られていなかった。

 研究グループは NSD2による遺伝子の働きを抑えた結果、細胞の老化が確認された。この酵素が細胞の老化を防ぐ役割をもつことが示唆されるという。

 NSD2と血清との関連も明らかになった。血清中の増殖を促進するタンパク質によって細胞の増殖が行われる。老化した細胞の場合、増殖が停止すると考えられる。そこで血清の応答を調べたところ、添加によりNSD2の量が増加することが判明した。研究グループによると、NSD2は細胞の増殖と血清の応答を維持することで、細胞の老化を防いでいるのだという。

 研究グループが今回発見した酵素により、4つめの細胞老化を防ぐ因子が見いだされたことになる。今後は、老化の仕組みの解明や酵素の活性を調節する手法の開発が期待されるとしている。

 研究の詳細は、Aging Cell誌にて23日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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