SARS患者から採取された抗体、新型コロナにも効果 米大学らの研究
2020年5月20日 18:51
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を標的としたワクチンや治療薬は今のところ存在しない。米ワシントン大学は18日、回復したSARS(重症急性呼吸器症候群)患者から採取された抗体が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を中和することを突き止めたと発表した。
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■SARS研究で発見された抗体
SARSは2003年に中国南部の広東省で始まったとされ、パンデミックを引き起こした感染症だ。SARSの原因となるSARSウイルスも、新型コロナウイルス同様コロナウイルスの一種である。
仏パスツール研究所、スイスイタリア大学、米ワシントン大学などの研究者から構成されるグループは、SARSに効果がある抗体の研究を続けてきた。研究グループは、さまざまなコロナウイルスの感染メカニズムの構造や機能を研究し続けてきたという。2003年には、SARSから回復した患者から採取されたモノクローナル抗体が、SARSウイルスを中和することを発見している。
研究グループは今回、モノクローナル抗体が新型コロナウイルスを中和するかどうかを評価し、25種の抗体のうち8種がウイルスと感染細胞の双方に効果があることを示した。またS309と呼ばれる抗体が新型コロナウイルスを強く中和させることを突き止めた。
■別の抗体と結びつき中和力が強化
リンパ球の一種であるB細胞は、ウイルスなどの病原体に感染した患者が獲得する記憶細胞だ。B細胞は抗体を産生させ、直接つながりのある病原体や類似の病原体が侵入すると攻撃する機能をもつ。研究グループはB細胞からモノクローナル抗体を同定している。
COVID-19は、新型コロナウイルスの「エンベロープ」と呼ばれる膜にあるスパイクタンパク質が、ヒト細胞の膜にある受容体と結びつくことで感染する。S309抗体は、このスパイクタンパク質を標的とし無効化する。これにより、新型コロナウイルスを中和するという。
研究グループによると、S309はほかの弱い抗体と結びつくことで、新型コロナウイルスの中和力が強化されるという。現在この抗体は、臨床実験に向けた実験を続けている最中だ。
研究の詳細は、英科学誌Natureに18日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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