スライムを応用、効果的にがん細胞を破壊 東工大の研究

2020年1月28日 06:58

 玩具としても販売されているスライムは、洗濯のりとホウ砂を混ぜ合わせて作られる。このスライムががん治療に効果的であるという研究を東京工業大学が発表している。

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■放射線治療の代わりとなるがん治療法

 がん治療のひとつである放射線治療は、X線をがん細胞に照射することで破壊させるが、大量に放射線を照射することで、正常細胞への悪影響も避けられないという問題をもつ。X線の代わりにアルファ線やリチウム粒子を照射するホウ酸中性子捕捉療法(BNCT)は、正常細胞への影響が小さいことから、がん治療として期待されている。

 BNCTではホウ素をがん細胞に取り込ませることでがん細胞を選択的に破壊できる。だが、長期間がん細胞に滞留できないケースがあり、その解消が課題だった。

■スライム結合で従来より効果的にがん細胞を破壊

 東京工業大学の研究グループが着目したのがスライムだ。ホウ酸イオンとポリビニルアルコールとが化学反応で結合されることで、スライムが生成される。生体適合性が高いため、医療にも用いられるという。

 スライムにおける化学結合の仕組みを活用し、BNCT用のホウ素化合物をポリビニルアルコールに結合させた。その結果、従来のBNCTとは異なる経路でがん細胞に取り込ませることに成功。がん細胞に取り込まれるホウ素の量は3倍程に増加しただけでなく、ホウ素の濃度も長期的に維持された。

 研究グループはモデルマウスで実験し、がん細胞へのホウ素の集積量や滞留性の評価を実施。その結果、従来のBNCTと比較し、がん細胞内のホウ素の量が長期的に維持できることが確認できた。

 ポリビニルアルコールとホウ素化合物からなる「スライム」は水中で簡単に合成可能だ。今後は医薬メーカーと協力し研究を続け、安全性を精査しながら臨床応用の道を模索するとしている。

 研究の詳細は、国際学術誌Science Advancesにて22日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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