横文字が多い自動車用語 日本語置き換えは難しい?

2019年12月19日 17:25

 自動車に関する用語は、外国語が多いのは当然といえば当然だろう。しかし、外国に行くと意味が通じない、和製英語に近いものも結構存在する。

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 ハンドルとかサイドブレーキとか、普通に使う用語も、外国に行くと通じない。

 ハンドルはステアリング・ホイール。取扱うとか、操作するという意味の、「ハンドリング」から、操舵輪をハンドルと呼んだのだろう。

 サイドブレーキはパーキングブレーキ。サイドブレーキも、床から生えている足踏みブレーキ(フットブレーキ)に対して、当時の車では運転席シートの横にあるから「サイドブレーキ」になったか。

 方向指示器も、「フラッシャー」とか「ウインカー」と呼んでいるが、「ターンシグナル」だし、アクセルは「アクセレレーター」だ。

 部品を表す用語でも「横文字」が横行するが、そうでなくてもカタログを見ても「ペダルレイアウト」だの「ドライビングポジション」、「トラクション・コントロール」「レインセンサーワイパー」等々。

 フルオートエアコンとか、ロングツーリング、リニアな応答性、レスポンスといった表現は、日本語に同化して、普通に使われている。

 昔、記者クラブに広報資料(パブリシティ)を持参した際に、親しい記者連中から、「パブリシティの文章を全部日本語でやってよ」と、イジメられたことがある。

 例えば「ロングノーズ、ショートデッキの空力に優れたボディシェルは、トランクリッドにはエアスポイラーを標準で装備する。アルミホィールはディッシュタイプが採用され、ロープロフィールタイヤ・・・・・。ドアを開けてコクピットに乗り込むと、正面に2連のスピードメーターとタコメーター、それに並んでフュエルメーター、オイルプレッシャーゲージ、水温計が並ぶ・・・・・。」といった内容だったとする。

 これが、全部日本語となると、「“車体前部が長く“、”後部が短い”空力に優れた”車体形状“は、”後部荷室の上蓋“には”空気力学調整用のハネ“を標準で装備する。””アルミ製車輪“は”円盤型“が採用され、”扁平率の大きな護謨車輪“・・・・・。”扉”を開けて”操縦席“に乗り込むと、正面に2連の”速度計“、”回転計“、それに並んで”燃料計“、”油圧計“、水温計が並ぶ・・・・・。」となる。

 さすがにアルミは、軽銀(けいぎん)とか、礬素(ばんそ)と書くと意味が判る人は殆どいないだろう。せいぜいゴムタイヤを護謨車輪と言い換えるのが関の山だ。

 日本人が弱い横文字は、適当に織り交ぜれば「センスの感じられる文章」になるが、過剰に使用するとおかしいことになる。自動車用語は、日本語に置き換えにくいものであることは事実だ。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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