複雑な分子にも周期律があった!東工大がコンピューターシミュレーションで解明
2019年9月4日 17:31
化学元素が原子番号順に並べられた周期表。原子がもつ物理的・化学的性質の周期的な変化(周期律)を表す元素周期表は、新しい元素の発見にも貢献している。東京工業大学は2日、複数の原子からなる高次の物質にも元素同様の周期律の存在を発見したと発表した。
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■新しい元素の発見に貢献した周期律
化学元素の周期表は、露化学者のドミトリ・メンデレーエフによって1869年に発表された。周期表により、空欄の元素が発見されるだけでなく、メンデレーエフが想定しなかった新しい元素の発見にも貢献した。自然界に存在する元素は約90だが、現在では新しい元素を人工的に作り出し、命名される。
従来の周期表で扱われた単一の原子の性質のように、複数の原子からなる高次の物質から同様の周期律が発見されれば、物質科学の世界において非常に有用な指標になる。だが原子とは異なり、大きさや組成、形などのさまざまな要素をもった物質は単純には分類できない。そのため、その性質を支配する原理や法則は見いだされていなかった。
■数学的構造に着目して高次物質の周期律を発見
東工大の研究グループは、微小な物質がもつ幾何学的対称性に着目した。分子などのナノ物質は複数の原子から構成され、正四面体や正八面体、正二十面体などの形をするなど、幾何学的対称性が高い。
そこで対称性などの構造を扱う群論を応用し、コンピューターシミュレーションを駆使した「対称適合軌道モデル」を開発した。対称適合軌道モデルは、ナノ物質のもつ電子のエネルギー状態(電子軌道)を明らかにし、ナノ物質の形状や性質、安定性等を系統的に予測できるという。
研究グループは今回、ナノ物質のもつ複数の電子軌道が、幾何学的対称性ごとにある一定の法則にしたがうことを発見した。このような「ナノ物質の周期表」は、従来の元素周期表に現れる族や周期に加え、類や種という新しい軸をもつ四次元の周期表になる。この周期表には、実在の化学物質や天然物に加え、未発見のナノ物質も含まれているという。
■新しい機能物質の発見に期待
元素の比率には、無限大の組み合わせが存在する。ナノ物質の周期表を指針とすることで、これまで検討されなかった未知の物質や、新たな機能材料が発見される可能性があると、研究グループは期待を寄せている。
研究の詳細は、英科学誌Nature Communicationsオンライン版にて8月19日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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