JAXAやミサワホーム、南極で「移動基地ユニット」の実証実験

2019年8月28日 08:35

 8月26日、JAXA、国立極地研究所(極地研)、ミサワホーム、ミサワホーム総合研究所(ミサワ総研)から「南極移動基地ユニット」実証実験に関する情報が公表された。

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 JAXAとミサワホーム、ミサワ総研の共同研究は、2015年にJAXAで発足した「宇宙探査イノベーションハブ」の活動に際し、2017年度の研究提案募集に、ミサワホームとミサワ総研の提案が採択されたことによる。

 「宇宙探査イノベーションハブ」とは、JAXAがハブとなり、産官の垣根を超え、様々な異分野の人材や知識を活用して宇宙探査に関わる研究を展開、技術の定着を図るとともに、宇宙開発だけにとどまらず新たな産業の創出を目指そうという挑戦的な企画である。

 2017年度の研究採択を受けJAXAとミサワホーム、ミサワ総研が共同で、地上の未来志向住宅やそれらの技術の月面基地への応用に関する研究を行ってきた。

 次にこの3者になぜ極地研が加わる形になったのか。ミサワホームとミサワ総研は1967年から南極における基地建設に協力してきた実績があり、簡易施工技術、センサー技術を活かしたモニタリング技術、極地における限られた自然エネルギーを有効活用する技術などの要素技術を有している。

 これらの技術は有人の宇宙基地建設や基地における活動にも共通して活用できるため、極地研が実施する「第61次南極地域観測隊の公開利用研究」に「極地における居住ユニットの実証研究」を3者が提案し、採択されたことで、4者合同の研究が実現することになった。

 極地研の「第61次南極地域観測隊の公開利用研究」では、他に東北大学の「しらせ搭載全天イメージャーによる海洋上からのオーロラ・⼤気光観測実証」、奈良女子大学の「しらせ搭載全天カメラ観測による南極航海中の雲の出現特性」の研究、東北大学「しらせ船上での大気中O2/N2及びCO2濃度の連続観測」が計画され、2020年初頭から活動が開始される予定である。

 4者による「南極移動基地ユニット」実証実験では、構造物の柔軟な拡張・縮小の検証、エネルギー利用の最適化の検証、センサーを用いたモニタリングの検証を目的としている。これら研究成果が月面基地建設に活かされる日がやってくるのが今から楽しみである。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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