中性子星同士の衝突をX線で発見 NASAの研究

2019年4月21日 21:32

 NASAのチャンドラX線宇宙望遠鏡による観測によって、地球から66億光年離れた場所からのX線の急激な放射(X線バースト)が発見された。このX線バーストは2つの中性子星の合体によるものと推定される。

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■中性子星とは

 太陽質量の数十倍程の星が核融合反応の燃料を使い果たしてしまうと、中心部は重力で潰れて中性子星ができる。このとき恒星の外層部は重力崩壊の反動で超新星爆発を起こす。中性子星はほとんど中性子という物質で出来ている。

 我々の身近にある通常の物質は原子から出来ており、原子は原子核とその周りを周る電子で構成されている。その原子核の材料は中性子と陽子である。原子核は原子の質量の99.9%を占めながらその大きさは、原子全体の1万分の1程度であり桁違いの密度をもつ。中性子から出来た中性子星も1立方センチメートル(角砂糖の大きさ)当たり1億トンという想像を絶する密度だ。

■中性子星が合体すると何が起こる

 2つの中性子星の合体で生じたエネルギーはX線、ガンマ線、紫外線など色々な波長の電磁波として放射される。また、重力場が急激に変化するため、重力の波である「重力波」が発生する。

 重力波はアインシュタインの一般相対性理論によって予言されている。合体後に出来る天体としては、新たな中性子星になる場合とブラックホールが形成される場合が考えられる。

■今回の研究のポイント

 今回の研究に使用したデータは2015年3月22日に撮影され、当時は見逃されていたデータだ。研究チームはX線の時間変化を調査し、強い磁場をもち高速回転する中性子星の場合の予測結果と一致することを確認した。

 X線放射は約7時間続き、2つの中性子星は合体後すぐにブラックホールに崩壊することはなく、数時間は新しい中性子星として生き残っていたことを示している。重力波の観測が開始されたのは2017年であるため、今回の事象による重力波はまだ観測されていなかった。

 この研究の結果はNatureの4月11日号に掲載された。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

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