【資金効率を決める製造技術(3)】住友重機械「STAF」、三菱ケミカル「PCM」

2018年10月26日 16:14

■住友重機械「STAF」

 自動車産業で必要とされる鉄鋼は、「薄板産業」に区分されている。鉄板の厚さで、数ミリ以下の薄い材料が使われることが多いからだ。それは車重を軽くするためで、出来るだけ薄い鉄板を形に曲げて、2枚以上を合わせることにより強度を出す工法が多数使われている。おのずと鉄板を、プレス機の「オス型とメス型」で挟み、形を造っている。その部品をスポット溶接などで合わせ、「型鋼」のようにして強度を作り出して軽量化を図っている。

【前回は】【資金効率を決める製造技術(2)】物流在庫は諸悪の根源 「行程結合」が資金効率を上げる

 しかし、その工程が部品を増やし、工程数を増やし、「ムダ」の巣窟となっている。金型は高価であるため償却に時間がかかり、モデルチェンジの足かせとなったりしている。

 そこで、住友重機械「STAF」は、初めから「パイプや型鋼」から部品を作り出して、部品点数を減らしてしまおうとしている。すると部品点数がへり、工程数などが大幅に減って、中間在庫の必要性も減り、資金効率の大幅な向上が出来ることとなる。

 その技術開発は容易ではなく、工程設計も同時に売り込んでいくようだ。

 材料は初めから型鋼のため、張り合わせる工程がなくなる。そのためには「オス型」だけで加工する必要があり、空圧でオス型に押し付けているようだ。鋼材を空圧で押し広げるには熱することが必要で、部品一つずつの過熱範囲で加熱、金型に空圧で押し付けているようだ。これだけで少なくとも部品点数は半減することもある訳だ。自動車のピラーの加工などでは威力を発揮するようで、実用化が進んできている。

 VW・ゴルフ5のルーフサイドレールなどの部品検証が進んでいるようだ。

■三菱ケミカルホールディングス「PCM」

 三菱ケミカルホールディングスの「PCM(Prepre Compression Molding)法」は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を使って、自動車の屋根など大型部品を造る技術のようだ。それによって、アウディRS5クーペでは軽量で丈夫な屋根部品が出来ているようだ。材質を鉄からほかの素材に変更するときには、必ず「製造・生産技術」が伴ってくるはずだ。その時、軽量化だけでなく、工程数を減らすことも考えなければならない。材料費が高くとも、これまでの屋根部品を造る工程全体の資金量と比較して大幅に中間在庫を減らせると、コスト比較で有利にできるからだ。

 製造業において、こうした努力は常に進んでおり、時として産業全体を変えてしまう開発が行われることとなる。ネットは人間の生活全体に影響を及ぼす技術であるが、製造現場でも、普遍的に必要な技術として日々開発が進んでいる。

 東レも、革新的製造技術を開発したようだ。これからしばらくは、自動車産業でカーボンや樹脂による素材革命が続くであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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