【2019春夏パリ ハイライト5】軽さとロマンチックを表現

2018年10月3日 11:44

 2019春夏パリコレクションではアシンメトリーや穴をあけたデザイン、異素材のドッキング、相反する要素の共存などもポイントになっている。これらのデザインやテーマは80年代や90年代にも多く見られたもの。だが、今シーズンは80年代や90年代のようにアバンギャルドな表現では無く、軽いデザインやロマンチックなデザイン、エレガントなデザインなど、一見するとシンプルにも見えるバランスに仕上げられている。 ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)

 山本耀司らしさと女性の肌や身体を直接見せる「ヨウジヤマモト」。今シーズンは、彼にとってタブーといえそうなデザインを共存させた。  Vゾーンを大きく開けたジャケットやウエストを見せるクロップド丈のトップス、半身が透けるデザイン、肩を露出したトップス。そして、メンズのコレクションでも見せた、ファスナーでパーツをつなぎ合わせて中が見えるデザインや円形の穴があいて身体が露出するジャケットやコート。布がほつれたデザインや布を巻き付けたオーバーサイズのアイテム、服にペイントしたようなアートモードなども肩や身体を見せている。  強さやアバンギャルドだけでも、美しいだけでもない、女性の多面性と女性への賛美を表現したようなデザインだ。 ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS)

画像:JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS  「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン」はロックの中のロマンチックをテーマにしたコレクションを発表した。デニムとレースなど繊細な布とのドッキング、デニムとバレリーナの融合、解体させたデニムやアシンメトリーを使ったデザインなども、以前のように過激なだけではなく、どこか詩的でリアルさも共存している。また、タトゥーのようなデザインもアクセントになっていた。  「ジュンヤ ワタナベ」らしいテクニックやアイテムと予想を覆されたようなロマンチックが共存しながらも、フレッシュさが印象的なコレクションだ。 ロエベ(LOEWE)

画像:LOEWE  ジョナサン・アンダーソンによる「ロエベ」はアートからインスパイアされたようなデザインを見せた。  パリのユネスコ本部に、ロンドンにかつて存在した試験的なギャラリーを再現したファサードやララ・ファヴァレットによる回転する洗車ブラシ、ロエベ・クラフト・プライズの最終選考に残った ジョー・ホーガンによる素朴な編み籠、鯉江良二による陶器が載せられたレコードプレーヤーなどが置かれた今回。登場する服やバッグもこれらのデザインから影響を受けている。  また、カーフスキンで織られたパズルバッグ、ストローが使われたゲートバッグなど、アクセサリーもジョー・ホーガンの影響を受けているという。 ・「ロエベ」2019春夏コレクション ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)

 高田賢三らとともにプレタポルテを創り上げた「ソニア リキエル」はその偉大さを再認識させた。新しく生まれたソニア リキエル通りでコレクションを発表した今回。パリのストリートとメゾンの融合をテーマに、パリの一角に存在する叙情豊かな日々の暮らしにオマージュを捧げたコレクションを提案している。  マルシェの出店の日よけからインスパイアされたようなニット、ハンドメイドのレザーのマクラメ編みニットはショッピングバッグ、スーツは男性から借りたワードローブを思い起こさせる。子供服も日常を強調する。レディースはオーバーサイズでありながら、身体のラインの美しさも共存させている。  ニットが見直される中、ニットの女王、現代のシャネルなどという言葉も思い出させた。 マメ(Mame Kurogouchi)

 パリでは前回に続く2回目の発表となった「マメ」のテーマはダイアリー(日記)。春夏コレクションは制作期間中の4月1日から6月17日までの、日記や写真などで構成するというアプローチで生まれたコレクションを見せた。  日常や記憶から生み出された今シーズン。着物のようなシルエットのコートや、野良着や着物に見られるパッチワーク、ジャパンブルーとでも呼べそうな色などは、上村松園の絵画やペインティングから引用したもの。日本的でありながら、未来的なムードも持っている。デザイナーの日常の中にあるものを使うことで、個性と日本的なムードが表れたコレクション。 ヴィヴィアン・ウェストウッド(Vivienne Westwood)

 「ヴィヴィアン・ウエストウッド」も、絵画や服飾の歴史を研究し尽くした独自のデザインを継続しながら、ストリートでも着られそうな軽い服を提案した。  スケートボードに乗ってモデルが登場するシーンからスタートした今シーズン。椅子を逆さまにしたヘッドピースや机のようなスカートなどシュールレアリズムの要素や、布を巻き付けたデザイン、コルセット、アフリカ的なムードのドレス、マッチョな男たちがパンツ一枚で肉体美を強調する演出など、らしさは健在だが、服はニット、猫をプリントしたシャツなどリアルな物も多く登場。分量やバランスも抑えられている。  ヴィヴィアン・ウエストウッドの服を着てスケートボードに乗るという演出も軽さやストリートの空気を強調しているように見えた。 ルッツ ヒュエル(Lutz Huelle)

 「ルッツ ヒュエル」も相反する要素を共存させた。デニムとアシンメトリー、クチュールを思わせる大きな袖、Tシャツとレース、ミリタリーとフラワーモチーフ。相反する要素がリアルなデザインに仕上がっている。 取材・文・画像:樋口真一 ■2019春夏パリファッションウィークの画像・ムービーをチェックする

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