植物は痛みを感じるのか ― ダメージを全身に伝える仕組みを埼玉大が発見
2018年9月24日 17:24
植物は果たして痛みを感じる能力を持っているのだろうか。これは難しい問いかけであり、ここにおいて回答を示すことはできない。ただ、植物が、その構成体の一部に「傷がつけられた」という情報を、全身に伝える情報ネットワークを持っているという事実が埼玉大学の大学院理工学研究科豊田正嗣准教授らの研究によって解明された。
【こちらも】東工大、植物の眠りの仕組みを解明
植物には脳や神経はない。動物であれば脳や神経が「痛み」を連絡するわけであるが、植物においてはそれがどのような形で行われるのかという問題は、長年にわたって不明のままであった。ただ、全身性の防御機構がある種の植物に備わっていることは既に知られており、そのような存在が予測はされていたのである。
今回の研究によって明らかになったところでは、その情報伝達物質は、グルタミン酸であった。あのいわゆる、うまみ調味料として知られているグルタミン酸と同じ物質である。植物のうまみ成分は、もしかしたらであるが、痛み(傷害情報)を伝えるものとして働いているのかもしれない。
さて、具体的にどういうプロセスであるかというと、植物が害虫などによって攻撃されたとき、傷ついた細胞からグルタミン酸が流出する。このグルタミン酸が受容体に結合すると、細胞内にCa2+シグナルが発生する。そしてそれが師管(養分を運ぶための器官)を経由して、全身に伝播することが明らかになったのである。
なお、今回の研究によって発見された、このグルタミン酸受容体を標的とすることで、病害虫を殺すことなく駆動する、植物の防御反応を制御する、新しいアミノ酸型農薬を開発することが期待されるという。
研究の詳細は、Glutamate triggers long-distance, calcium-based plant defense signaling(グルタミン酸は、植物の長距離防御カルシウムシグナルを引き起こす)と題され、Scienceに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
最新記事
- NVIDIAら、実機ロボットの研究開発を完全自動化するフレームワーク「ENPIRE」発表―AIが検証からコード修正まで実行
- Z.aiが「GLM-5.2」のオープンウェイトを公開、性能はClaude Opusに迫るもAPI経由のデータ送信に中国法上のリスク指摘
- 【内部リーク】Metaが数千人の技術者をAI訓練用のデータ作成に投入、社内からは「強制収容所」と自虐する不満が噴出
- 『R-Type Tactics I・II Cosmos』が6プラットフォームで海外発売へ―幻のPSP続編が16年越しに初の英語化
- ChatGPTのシェアが初の50%割れ、GeminiとClaudeが猛追――Sensor Tower調査