NEDO、AIベンチャー企業を支援 研究テーマ6件を採択

2018年8月9日 19:06

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8日、人工知能(AI)の社会実装を進めることを目的に、優れたAIベンチャー企業の研究テーマ6件を採択したと発表した。

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 全国から30件の応募があり、コンテスト方式で6件の研究テーマを選定。各社は数千万円の委託費で最大2年間の研究開発を実施する。ベンチャー企業支援を通じて、AIの重点分野への社会実装を促進し、新たな需要の創出や技術の融合による産業競争力の強化を目指す。

 政府の掲げる「人工知能技術戦略」の重点3分野は、生産性、健康・医療・介護、空間の移動だ。その内で採択された6テーマは、生産性分野から最優秀賞1件と審査員特別賞3件、健康、医療・介護分野から最優秀賞1件と審査員特別賞1件で、AIベンチャーの市場参入を促進する。

●採択テーマの最優秀賞

 最優秀賞は、生産性分野で1件、健康、医療・介護分野で1件の計2件を採択。

 生産性分野では、DeepXに委託。食品(非定形・軟体物)を定量でピックアップするAIアルゴリズムを4,500万円で研究開発する。ディープラーニングによる画像認識や強化学習を活用。スパゲティーなどバットに盛られた「非定型」で「柔らかい」大量の食品の山から「指定量」を産業用ロボットでピッキング。弁当等の容器に移すアルゴリズムの実用化を目指す。

 健康、医療・介護分野では、PuRECと名大に委託。AIによる高純度間葉系幹細胞の品質検査高度化を4,500万円で調査研究する。画像解析と先端AI技術を融合することで、実用的な再生医療用細胞の品質検査システムを開発。再生医療用細胞製造現場での安定性と効率の向上およびコストダウンを目指す。

●採択テーマの審査員特別賞

 審査員特別賞は、健康、医療・介護分野で1件、生産性分野で3件の計4件を採択。

 健康、医療・介護分野では、MICINが「機械学習を用いた認知機能リスク因子の探索」を3千万円で受託。脳梗塞が原因で発症する認知症について、人間ドックなどで得られる医療データとの因果関係をAIで解析。認知症予備軍を早期に発見することで、予防や根治を目指す。

 生産性分野の最初の採択は、AI、クラウド、センサ、画像処理を活用したミドルウェア汎用ロボットコントローラの調査研究だ。IDECファクトリーソリューションズとRapyuta Roboticsの2社が2千万円で受託。ロボットの動作を実現するプラットフォーム技術を開発する。

 生産性分野の2件目は、MI-6が「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索」を2千万円で受託。材料探索において、AIとシミュレーションによる探索結果をクラウドソーシングで評価。評価結果を学習することで探索精度の向上を目指す。

 生産性分野の3件目は、ロックガレッジが「AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム」を2千万円で受託。複数機のドローンにより広範囲の遭難者捜索を行い、同時にAIとクラウドソーシングを組み合わせることで、高い捜索効率と検知精度を実現する自動捜索・自動検知システムを目指す。

 なお、人工知能技術戦略をはじめとする各施策の詳細は、NEDO AIポータルで公開している。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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