天の川銀河の星形成は二段階で起こった、東北大学が解明

2018年7月30日 06:58

 従来、我々のいるこの銀河系(天の川銀河)は、100億年以上の間ずっと同じように星を作ってきたと考えられていた。だが実際にはそうではなく、天の川銀河での星形成は二段階に分かれて起こっているということが東北大学大学院理学研究科の野口正史准教授の研究グループによって明らかにされた。

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 そもそも星の材料は水素を主成分とする低温のガスである。銀河の外側の宇宙空間に存在する始原ガスと呼ばれるこのガスが、天の川銀河のような渦巻銀河においては扁平な銀河円盤に流れ込み、それによって星が誕生すると考えられている。

 さて、従来の考え方では、銀河に落ち込んで行った始原ガスはまず衝撃波によって過熱され高温になる。その後ガスはエネルギーを放出して低温になり、銀河円盤に流れ込む、というイメージで理解されていた。

 だが、近年の数値シミュレーションに基づいた計算では、宇宙の初期においては衝撃波は発生せず、始原ガスが冷たいままに銀河円盤に流れ込む、という可能性が指摘されるようになってきた。この現象を「冷たい降着流」という。なお、一度衝撃波によって過熱されたガスが冷えながら銀河円盤に流れ込む過程は「冷却流」である。

 野口准教授は、この「冷たい降着流」を理論モデルに組み込んで、100億年にわたる天の川銀河の成長と進化を詳しく計算した。それによって得られた推論によると、まず冷たい降着流によって100億年ほど前に第一段階の星形成が始まり、これが約30億年ほど続く。

 そして衝撃波が発生してガスが高温になるようになってガスの供給が止まり、20億年ほど星の形成は中断する。そして高温のガスからエネルギーが失われるにつれて「冷却流」による星形成(これが第二段階目)が始まり、これは天の川銀河において現在も続いているのであるという。なお、我々の地球の空に輝く太陽も、この第二段階目において誕生した星であるという。

 同様の銀河形成はアンドロメダ銀河などでも見られると考えられ、今後銀河形成についての理論は大きく変動していく可能性があるとのことである。なお、研究の詳細は、Natureにおいて公開される。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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