W杯ロシア大会 アジア勢それぞれの戦い

2018年6月30日 15:11

 サッカーのワールドカップロシア大会はグループリーグを終え、ノックアウトステージを迎える。

 5カ国が出場したアジアからは唯一、日本が決勝トーナメント出場を果たした。ポーランド戦の展開は今尚、様々な議論を呼んでいるものの、2大会ぶりの快挙達成には変わらず、7月2日に行われる1回戦のベルギー戦へ期待は膨らむ。

 その他、4カ国のアジア勢もそれぞれ今大会では奮闘をみせた。

■連覇を狙うドイツの夢を打ち砕いた韓国

 序盤から2連敗を喫し、2大会続けてのグループリーグ敗退となった韓国。それでも最終戦、ドイツを相手に戦前の予想を大きく覆す結果をもたらした。

 勝利以外では大会を去ることになるドイツは韓国を圧倒するかに思われたが、放たれるシュートは枠の外、さらには韓国GKチョ・ヒョヌの好セーブに阻まれた。決定力を欠いたドイツに焦りが生じ、計26本にも及んだシュートは1度もネットを揺らすに至らず、逆に韓国は後半アディショナルタイムにPKを獲得し先制。終了間際にもソン・フンミンが追加点を挙げ、ドイツの息の根を止める。

 監督交代を行うなどアジア予選から勢いに乗り切れず、今大会でも死のグループに属するなどこれまで以上に困難な状況だったが、前回優勝国から勝ち点3を奪い「アジアの虎」の異名の如く最後の最後で深い爪痕を残した。

■次回大会への飛躍に繋げられるか

 中東勢も意地をみせた。

 スペイン、ポルトガルが同組となり、厳しい戦いが予想されたイランは初戦のモロッコに勝利し実に20年ぶりの白星を挙げると、勢いは最終戦まで止むことはなかった。スペイン戦は圧倒的にボールを支配されるも徹底した守備でスペインのパスサッカーを封じ込め、0-1で敗れたものの最後まで相手に自由を与えない強固な守りでその後の失点を防いだ。またポルトガル戦でも先制を許しながら、その後に訪れたクリスチアーノ・ロナウドのPKを防ぐ等、粘り強い戦いを展開、後半終了間際にはVAR判定により獲得したPKで同点に追いつき、最後まで勝利に迫り続けた。結果はドローに終わりトーナメント進出はならなかったが、優勝候補ポルトガルをあわやのところまで追い詰めた。

 開幕戦となった初戦で開催国ロシアに0-5と大敗を喫したサウジアラビア。続くウルグアイにも0-1で敗れ無得点のまま予選敗退が決まり今大会でも苦しい戦いを強いられた。それでも3戦目のエジプトとのゲームでは前半、エジプトのエース、サラに得点を許すも同点に追いつき、後半アディショナルタイム、サレム・アルダウサリのゴールで逆転、1994年アメリカ大会以来となる勝利を手にした。

 次回大会、開催国は中東・カタール。イラン、サウジアラビアとも予選を勝ち抜けたならば本大会では近隣国ゆえに時差・気候など様々なアドバンテージが考えられ、更なる飛躍が期待できる。

 アジア所属となり3大会目となったオーストラリアは最終戦までグループリーグ突破の可能性を残すも3戦目でペルーに0-2で敗れた。ロングボール主体のかつてのスタイルからポゼッションへの戦い方へと変貌を遂げるものの、手にしたのは勝ち点1のみ。日本同様、アジア予選終了後の指揮官交代により戦術が定まらなかった感は否めず、2大会連続のグループ最下位という結果を受け止め、今後に向け改めてチームコンセプトの確立が急務といえる。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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