NECとJAXA、商用通信衛星向けコマンド受信機を開発 50倍の耐性を実現
2018年4月9日 19:04
NECと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、スペクトラム拡散通信方式を採用した通信衛星向けコマンド受信機(C40)を共同で開発したと発表した。
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2016年に中国の有人宇宙ステーション実験衛星が制御不能に陥り、2018年4月2日に南太平洋の上空で大気圏に再突入。全長10.4メートルの人工衛星は、再突入時に燃え尽きた。制御不能に陥った原因は報道されていないが、人工衛星を地上から制御する通信は、命綱であろう。
人工衛星の状態監視や管制には、地上から人工衛星に向けてコマンド信号を送信して、人工衛星を制御する方法が一般的だ。近年世界的に人工衛星の打上げ数が増加していることで、隣接した周波数帯域を使用する他衛星との電波干渉による通信障害が発生。その対応のため、コマンド信号の周波数をマニュアル操作で適宜変更するなどの作業が必要という。
これらの問題の解決には、電波干渉や電波妨害に対する耐性が大幅に向上するスペクトラム拡散通信方式の採用が有効であり、地上では実証された方式だ。だが、この通信方式を人工衛星に採用する困難さは、人工衛星までの距離と人工衛星の速度にある。
例えば、国際宇宙ステーションは1時間半で地球を一周する。時速28,000キロメートルだ。そして、地上から400キロメートルの上空を飛んでいる。
●人工衛星通信(NECとJAXA、C40)のテクノロジー
スペクトラム拡散通信方式の課題は、周波数検出に時間を要することだ。衛星に搭載された受信機が、地上から送信された信号の受信を認識してから、搬送波信号に同期するまでに要する時間が長くなり、人工衛星が目標軌道に到達するまでの軌道遷移に間に合わないからだ。
複数の変復調モードを有する人工衛星搭載用の送受信機の設計を基に、周波数検出の時間短縮を可能とするスペクトラム拡散符号検出アルゴリズムを複数考案。これら複数のアルゴリズムを計算機シミュレーションや試作検証により1つに絞り込み、設計パラメータを最適化。従来方式と比較し、50倍以上の電波干渉波や電波妨害波の信号強度に耐えられる性能への向上と、平均5秒以下という初期捕捉時間を両立することに成功。通信障害の発生頻度が低く、負担の少ない衛星運用を可能にした。
NECとJAXAはC40を、16日~19日に米国で行われる世界最大級の宇宙関連産業の展示会「34th Space Symposium」に出展する。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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