iPS細胞から作った心筋シートの心臓病治療、大阪大学が承認

2018年3月2日 07:06

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作られた心臓筋肉の細胞シートを心臓病患者に移植して治療する臨床研究について、大阪大学内の委員会は大筋で承認した。

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 iPS細胞を応用した心臓を対象とする再生医療は世界初となり、厚生労働省の許可が下りれば、今年の春~夏にでも始める予定だという。

 今回の治療に使用される心臓筋肉の細胞シート(心筋シート)は、心臓の筋肉細胞を作製し、その細胞を0.1mのシート状に加工したもの。通常、1回の移植に使われるのは2枚。その2枚のシートは約1億個の細胞が含まれ、シート状態であっても心臓と同じように拍動しているという。

 大阪大学の研究グループは、この心臓筋肉の細胞シートを心臓病の患者に直接貼り付け、心臓の収縮能力を再生させる研究を進めていた。

 iPS細胞を使った研究は、安全性に留意する必要があり、実際に人に使用する場合は、法律などによって厳格に決められている。大学などの研究機関がiPS細胞の研究を行う場合、まずは計画の段階で大学などに設置されている専門家の委員会による審査が行われる。大阪大学の研究グループは、この専門家の委員会による審査をパスした段階である。

 次は国の機関である厚生労働省での審査が待っており、ここをパスして初めて、実際に研究することができるのである。研究を始めてからも、進行の状況や何か問題が起こっていないなどの報告義務がある。

 iPS細胞を応用した再生医療は、心臓だけでなく、脳や脊髄などの中枢神経、血液などでも臨床研究の計画が、他の大学や研究機関でもなされている。

 今回の計画は、日本のiPS細胞を応用した再生医療の行方を占うものであると、注目が集まっている。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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