鼻が長いとモテる?テングザルの進化の秘密に中部大などの研究チームが迫る

2018年2月25日 21:48

 テングザルという霊長類がいる。その名の通り、天狗のように長い奇妙な鼻という不思議な形態を持つサルで、なぜそのように進化したのか、学術的には未解明であった。しかし今回、「古典的な性選択による進化である」という実証的データを割り出すことに、中部大学創発学術院の松田一希 准教授、京都大学霊長類研究所の香田啓貴助教、その他各国の動物園、研究機関などが構成する国際共同研究グループが成功した。

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 テングザルは霊長目オナガザル科テングザル属に分類される、そしてテングザル属に属する唯一の種である。ボルネオ島にしか生息しておらず、いわゆる絶滅危惧種である。サルの仲間ではよくあることではあるが群れを形成する(1匹のオスと複数のメスの群れを作る)生き物で、また植物食であり、霊長類にしては唯一の反芻を行う動物である。

 研究の結論そのものは非常に単純である。「大きな鼻を持った個体はメスを勝ち取りやすいので性淘汰に耐え、結果として鼻の大きい生き物に進化したのだ(と考えられる)」というものだ。

 性淘汰というアイデアそのものは非常に古く、近代的な進化論の提唱者であるダーウィンその人が既に提案している。

 だが問題は、それをどう実証するのか、ということである。研究グループがこの単純な結論を導き出すまでに要した研究期間は、10年を越える。野生の、それも絶滅危惧種である稀少なテングザルの観察を続け、特にテングザルの社会性と、個々のオスの鼻の大きさの持つ意味合いに着目し、データ収集が続けられたのである。

 データの特徴だけ言えば、野生テングザルのオスの鼻のサイズは睾丸の容量と比例し、また群れに所属するメスの数も鼻の大きいオスの方が多くなる。そしてテングザルの鼻は大きいほど「声が低くなる」特徴があり、その声がテングザルのメスを魅了しているのだという。

 なお、研究の詳細は米国の科学誌「Science Advances」にオンライン掲載された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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