有頂天家族は、原作愛・狸愛溢れるふはふはアニメ

2017年8月5日 15:54

記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ

 この記事を書いていて、私の歴代アニメランキングでのこの作品の順位が一つ上がりました。二期の情報がどんどん公開されている時期に書いているのですが、作品を振り返るのってこんなに楽しいのかと思いながら書いています。ふはふはした小説がふはふはしたアニメになって視聴者の心をふはふはと掴んでいくなんて有頂天家族は憎い作品だなぁと思います。

 皆様にもこの作品を見て、この気持ちを味わって欲しいなぁなんて思います。

■有頂天家族 とはどんなアニメ?


 有頂天家族 は、2013年に「花咲くいろは」などでも有名なP.A.WORKSの制作で放送されたアニメです。全部で13話、2017年に2期の放送が決定しています。

 原作は、「夜は短し歩けよ乙女」などでも有名な森見登美彦さんによる小説です。アニメは第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で優秀賞を受賞するなど業界でも高い評価を受けている作品です。また、舞台となる京都では、下鴨神社や叡山電鉄、京都南座ともタイアップするなど人気の高さも伺えます。

 また、キャラクター原案を「さよなら絶望先生」でもお馴染みの久米田康治さんが務めているのですが、ご自身の原作以外で原案を担当されるのはこの作品が初めてだったそうです。

■狸×天狗×人間at京都



 物語の主人公は下鴨神社の糺の森に住む狸一家の三男「下鴨矢三郎」。京都狸界を率いていた亡き父「偽右衛門」下鴨総一郎の息子4人、堅物の長男「矢一郎」、蛙に化けて戻れない次男「矢二郎」、化力だけが取り柄の三男「矢三郎」、ちょっと動揺するとすぐに狸に戻ってしまう四男「矢四郎」は偉大な父親の血を引きそこねたと言われる阿呆な兄弟。更に母もちょっと阿呆。

 中でも、矢三郎は化けるセンスだけはあるのにそれを自分のためにしか使わず、日々人間に化けて京都のまちを駆け回っている。この物語は、狸界最大の恐怖イベント、金曜倶楽部の忘年会の狸鍋の餌食になって父がいなくなった翌年の彼らの日常を描いている。矢三郎は父を食べた金曜倶楽部の一人、天狗の力を持った人間「弁天」に好意を寄せ、天狗のちからを失った師匠「如意岳薬師坊」に奉仕しながら夏の五山送り火を過ごし、冬を迎える。

 父の死の真相を知った矢三郎達下鴨一家に年末、大きな危機が訪れる。一家はそんなピンチを乗り越えることができるのか?

■原作愛あふれる完璧な表現


 有頂天家族 のセリフは原作のものとほぼ一緒です。原作者の森見登美彦さんの特徴は現代の小説と比べて少し古めかしい語り口だと思います。

 この有頂天家族では、声優さん達がその優しい語りを見事に表現してくれていると思います。

 特に、作中で何度も出てくる矢三郎と赤玉先生の問答は原作を読んで頭の中で再生したのをそのまま声優さんに読んでもらったかのようでとても楽しく見ていました。二人の問答の特徴はお互いに相手のことを分かりきっているからこそ相手の言動を先読みし、お互い一切驚かずにテンポよく会話が進んでいくところなのですが、それを見事に表現できていると思います。また、原作は小説なので一切の絵が無く景色も全て言葉で表現しているのですが、その描写がとても細かい所も森見さんの小説の特徴なのです。

 それもP.A.WORKSさんが見事に表現してくれています。満開の桜の中をふわふわと舞う弁天、雷がなる中、家族で固まって過ごす下鴨一家、夏の夜空から見る五山送り火、舞台どなる京都の建物・街並みをアニメーションで見事に再現しています。ここまで完璧なのにキャラクターに愛着が湧かなかったら台無しですよね、心配ご無用です。久米田さんのキャラクター達はそれぞれの性格を表すような見た目です。

 人間姿と狸姿もそれぞれ特徴があり、狸が集まったシーンはどんなシーンでも愛らしいものになっています。いや、作中でも使われている「かわゆい、かはいい」の方が適しているでしょう。原作愛が感じられるアニメーションになっています。

タイトル
有頂天家族

監督
原作:森見登美彦、監督:吉原正行

放送期間
第1期:2013年7月 – 9月
第2期:2017年4月 – 6月

主な声優
櫻井孝宏、諏訪部順一、吉野裕行、中原麻衣など

製作会社
P.A.WORKS

その他の情報
http://uchoten-anime.com/

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(あにぶ編集部/あにぶ編集部)

©森見登美彦・幻冬舎/「有頂天家族」製作委員会

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