トランプ大統領、パリ協定離脱を正式表明

2017年6月2日 12:19

 ドナルド・トランプ米大統領は、現地時間1日、ホワイトハウスで会見を開き、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」からアメリカ合衆国が離脱することを正式に表明した。

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 トランプ大統領が主な理由として挙げたのは、パリ協定が米国経済にとって重荷であり、不利益となっている、ということである。なお、トランプ大統領は昨年の大統領選挙に際し、パリ協定離脱を公約に掲げていた。

 パリ協定は、2015年12月、国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP21)において採択された国際条約である。産業革命期以来の気温上昇(地球温暖化)を、2度より抑えることを目標に掲げ、全世界で温室効果ガス排出を、今世紀後半までに実質ゼロとすることを謳っている。

 ちなみにパリ協定に先立つものとして、京都議定書がある。1992年に地球温暖化対策「気候変動枠組条約」が締結されたことに基づいて1997年に採択、2005年に発効したものである。こちらは先進国のみに数値目標付きの温室効果ガス排出削減義務が与えられ、開発途上国については義務が与えられなかったという違いがある。

 これに対しパリ協定は、すべての国々が温暖化防止に向けて努力する、ということに特色がある。ただしパリ協定には、違反した際の罰則のようなものがない。

 既に知られているように、トランプ大統領は地球温暖化否定論者である。地球温暖化という現象そのものが科学的事実であることは学術的には疑いの余地はなく、科学者たちからはトランプ大統領に抗議や批判が数多く寄せられているが、トランプ大統領が信条を変えたという話は伝わっていない。

 もっとも、トランプ大統領はパリ協定を批判し、脱退を宣言はしたが、会見の中で、「アメリカにとってよりフェアな内容の、新たな協定を結ぶための再交渉を開始する」とも語っている。

 今回の一件がパリ協定にとって重大なダメージであることは間違いないが、アメリカの今後の動きについて、まずは慎重に見極めていくことが必要であろう。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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