【テニス】元プロ選手三橋淳、八百長と賭博で永久追放

2017年5月18日 08:52

 09年全日本選手権でベスト4に入ったことのある元プロテニス選手で、ジュニア時代にはデビスカップにも出場経験のある三橋淳(27)が、八百長を持ちかけ、テニスの試合への賭博を行っていたとして、テニス界から永久追放された。

 テニスの不正を監視する団体であるテニス・インテグリティ・ユニット(TIU)によると、「事実関係を確認し弁明の機会を与えるために問い合わせを行ったが、調査協力を拒否された」ことで、異例となる一発での永久資格停止になったと発表した。

 これで、三橋は今後行われるプロとしての試合に出場できなくなるだけでなく、選手へのコーチもできなくなる。

■三橋が関与したとされる不正とは?


 三橋が八百長に関与したのは15年のこと。IFTフューチャーズの大会でジョシュア・チェティにシングルスで2000ドル(約27.7万円)、ダブルスで600ドル(約6.8万円)で負けるように持ちかけたという。

 また、同年12月ラゴス(ナイジェリア)で行われた大会では、別の選手に直接八百長を持ちかけていたことと、同年10月~11月にかけてテニスの公式戦に対して、76度賭博行為を行っていたことも明らかになっている。

■海外でも続々速報


 今回の三橋の不正について、海外でも続々と速報がされている。

 英国の公共放送「BBC」電子版でも、「日本人テニスプレイヤー ジュン・ミツハシが八百長事件で永久追放」と特集している。米国のUSAトゥデーやスペイン、豪州の地元紙をはじめとして、世界各国で速報が流されている。

 海外では「日本人は不正に手を染めない。倫理観のしっかりしたプレイヤーが多い」というイメージで見られているが、今回の三橋の不正で日本テニス界のイメージダウンも予想される。

■不正の温床になりやすい競技でもある


 テニスツアーは負ければ終わりのトーナメント形式で、弱肉強食がはっきりとしたピラミッド型。男子の世界ツアーにはワールドツアー250からグランドスラムまでの世界ツアーと、チャレンジャー・ツアー、サーキット・フューチャーズと呼ばれるツアー下部大会がある。

 ツアー下部大会であれば、初戦敗退すると約100ドル(約1.1万円)前後しか賞金がもらえないことも。移動や宿泊費といった遠征費用はそこから出さなければならないため、下部でプレーしている選手にとっては、敗退行為を持ちかけられれば乗ってしまう可能性もある。

 特に、テニスの場合ミスによってポイントがつくことが多い。また、ダブルフォルト(サービスを2回ミスすること)もトップの試合でもよく見られる。そういったミスが故意に行われたものかどうかについては、プロでも見抜くのは難しい。

 実際、08年にTIUが設立されてから数十人の選手や関係者が摘発されている。それとて氷山の一角で、実際にはその数十倍はいるとも言われている。

●今後は、過去に接点があった選手から聞き取りの可能性も


 日本テニス協会も今回摘発された三橋の不正については寝耳に水だったようで、現在本人と連絡がついていない状態という。昨年バドミントンでも同様の問題があっただけに、コンプライアンスの強化を課題として取り組んでいるさなかに持ち上がった疑惑だった。

 テニスは個人競技のため、各個人で世界中を回っている。また、すべての選手に徹底しようと思っても、日本テニス協会に登録されていない選手も多いため、そこまで徹底しきれないのも現状である。

 今回の処分を受けて、三橋の指導者としての再登録を認めない方針を確認。今後は、過去に何らかの形で接点のあった選手からも聴取を行う可能性を示唆している。(記事:夏目玲奈・記事一覧を見る

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