ヤマト運輸、国際クール宅急便を拡大 フランス向けも開始へ

2017年4月13日 07:11

 2018年度からヤマト運輸は保冷機能付きの航空コンテナやトラックを使い日仏間で保冷輸送を始めるとした。これまでヤマト運輸はアジアで国際クール宅急便を事業展開してきたが、欧州は初めてだ。

 農林水産省が音頭をとるグローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会メンバーにヤマト運輸も名前を連ねている。日本の人口が減少していくことで、日本の食市場は収縮していくとされる。これについて、日本の農業従事者が高齢化していることと併せて、問題はないのでは、とする声もあるだろう。農業従事者がリタイヤすれば農業従事者は激減するからだ。

 しかし、日本と同じアジア圏では人口増加の傾向が見られる。この傾向が人口爆発につながり、極端に食料が不足するのではという懸念も持ち上がっている。金額に換算するとアジアでは2020年には2009年の約3倍、229兆円に食市場が拡大すると予測される。

 日本は海に囲まれた島国であるため、海外への輸送路が海と空とに限られてしまう。量を運べる船による輸送は飛行機に比べてコストを抑えられるが日数もかかる。冷凍・冷蔵技術を使ったバリューチェーンはコールドチェーンと呼ばれ、海と空の生鮮物の輸送を可能にした。

 フードバリューチェンとは農産物の生産から消費までの各段階で付加価値を高めていく「連鎖(チェーン)」のことである。苺で具体例を挙げると、朝の早いうちに摘んだ苺の鮮度を損なうことなく保冷輸送で空輸しようということだ。熟した苺ほど傷まないように運ぶことが難しく、また、他のどの果物よりも極端に日持ちしない。海外に宅配しようとするのなら空輸だろう。しかし、海外では保冷コンテナの電源が落ちたりといったトラブルが実際に起こっており、ヤマト運輸が信頼度の高いサービスを提供できれば、利用拡大にもつながるだろう。

 一方、アマゾンジャパンのネット販売を引き受けたことにより業績が拡大したヤマト運輸。2016年度に取り扱った荷物の総数は、過去最高の18億7千万個にのぼったが、それにより国内の宅配事業は人手不足に陥り、従業員の労働環境を問題視する指摘も飛び交ったが、ヤマト運輸は本社組織改正に踏み切った。そして、今年度、宅配便の運送費を値上げすることにより荷物量をおさえて、長時間労働を抑制する方針も示した。

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