カストロ前議長死去―キューバの経済とニッケル産業の今後は?

2016年11月27日 19:24

 25日、キューバの前国家評議会議長フィデル・カストロ氏が死去した。90歳。日本時間26日午後、実弟で後継者であるラウル・カストロ議長が同国の国営テレビを通じて発表した。前議長は2008年に政権から退いており、また高齢でもあったことからその死によるキューバの産業・経済への直接的なインパクトは大きくはないと考えられる。ただしラウル現議長も既に85歳と高齢で2018年の政権引退を公言しており、同国が今や残りわずかとなった社会主義国であるという事情もあって、長期的な情勢予測はやや不透明。同国の主要産業であるニッケルの26日の先物は買い気配を見せた。

 キューバはカリブ海に浮かぶラテンアメリカの島国であり、アメリカ合衆国フロリダ州の南東約145kmに位置する。人口約1,126万人、面積は本州の半分程度。GDPは789億9,660万ドル、一人当たり6,920ドル。経済成長率は1.0%(いずれも2014年)。経済的には没落傾向にあるとされる。主要輸出品はタバコ、砂糖、ニッケルであるが、砂糖の重要性は長期的に下落傾向にあり、埋蔵量世界第2位を誇るニッケルへの依存が高まっている。

 ニッケルは近年その重要性を高めているレアメタルである。特に新興国が工業化を進め産業インフラを近代化する際に不可欠のマテリアルであり、ニッケルなくして豊かな社会はあり得ないと言われるほどだ。また、自動車や、携帯電話などのエレクトロニクスにも広く用いられる。

 キューバ政府はニッケル産業振興のため外資の導入に積極的だが、同国の国際的立ち位置の難しさもあってか、現時点ではカナダのsherritt社がCubaniquel鉱山の操業に関わっているのみである。キューバのニッケル生産量は公表されていないが、世界の市場におけるシェアは埋蔵量を考えると小さく、つまりキューバのニッケル産業は将来的に高いポテンシャルを秘めているといえる。

 以上がキューバの経済と産業の主な現況である。最後にこの一文をもって締めくくりとさせていただく。

 闘争に生涯を捧げし〝最後の革命家”フィデル・カストロの御魂の安らかならんことを。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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