NYの視点:米10月雇用統計、思わぬサプライズも

2013年11月7日 07:02


*07:02JST NYの視点:米10月雇用統計、思わぬサプライズも

米国労働省は8日にワシントンで10月雇用統計を発表する予定だ。10月の米国政府機関が影響し、非農業部門雇用者数が7月以来の低調な伸びにとどまる公算。16日間の政府機関閉鎖で、70万人ほどの政府職員が一時解雇になったという。また、JPモルガンは今回の政府機関閉鎖が政府職員に加え、間接的に30万人の民間企業の雇用にも影響を与えたと分析している。

ただ、先行指標は強弱まちまち。米労働省が発表する雇用統計と最も相関関係が強いとされる米国の大手給与計算アウトソーシング会社ADP(オートマティック・データ・プロセッシング社)が発表した民間部門雇用統計の10月分は前月比13万人増と、9月の14.5万人増から予想外に伸びが鈍化。一方、民間企業の解雇者数を示すチャレンジャー人員削減数は前年比で4.2%減となった。また、民間の米ISM(供給管理協会)が発表した10月製造業景況指数の雇用指数は53.2と6月以来の低水準となった一方で、ISMサービス業の雇用は56.2と9月の52.7から上昇し8月以来の高水準となった。米国経済の3分の2を占めるサービス業の雇用には注目される。

10月の政府機関閉鎖前から労働市場の回復失速が明らかになっていたため、政府機関閉鎖がさらに労働市場に損傷を与えるとの警戒感は強い。経済で予期せぬ事象が起きた場合の例に漏れず昨年のハリケーン・サンディ発生直後に発表された2012年11月雇用統計と同様、10月雇用統計のエコノミスト予想は大きく分かれた。予想値は5万人増から17.5万人増と12万の差が見られる。しかし、10月分の経済指標は予想外に持ち直しを見せている。思わぬポジティブサプライズでドル買いが再燃する可能性も十分考えられる。

●10月雇用統計先行指標

■米ADP雇用統計:前月比+13万人(予想:+15万人、9月:+14.5万人←+16.6万人)

■米チャレンジャー社解雇者数:45730人、前月比+前年比-4.2%

■米ISM製造業景況指数
雇用:53.2(9月55.4)

■米ISM非製造業景況指数
雇用:56.2(9月52.7)

■シカゴ購買部協会指数(PMI)
雇用:57.7(9月53.2)

■フィラデルフィア連銀景況指数

◎現況
雇用者数:+15.4(9月+10.3)
週平均就業時間:+8.5(+12.2)

◎6ヶ月見通し
雇用者数:+27.2(+31.0)
週平均就業時間:+9.3(+16.2)

■リッチモンド連銀製造業景況指数

◎現況
雇用者数:+4(9月-6)
週平均就業時間:-1(-4)

◎6ヶ月見通し
雇用者数:+13(+17)
週平均就業時間:+5(+8)

■NY連銀製造業指数

◎現況
雇用者数:+3.61(9月+7.53)
週平均就業時間:+3.61(+1.08)

◎6ヶ月先の見通し
雇用者数:+7.23(+4.30)
週平均就業時間:+2.41(-2.15)

■消費者信頼感指数

◎現状
雇用
十分:11.3%(9月11.4%)
不十分:52.9%(55.0%)
困難:35.8%(33.6%)

◎6ヶ月見通し
雇用
増加:15.3%(16.1%)
減少:22.7%(19.1%)
不変:62.0%(64.8%)

所得
増加:15.8%(15.1%)
減少:15.4%(13.9%)
不変:68.8%(71.0%)

●市場エコノミスト米10月雇用統計予想

失業率:7.3%(8月:7.2%)
非農業部門雇用者数:前月比+12万人(+14.8万人)
民間部門雇用者数変化:前月比+12.5万人(+12.6万人)《KO》

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