【外国為替市場展望:ドル・円相場】米FRBの金融政策に対する見方が焦点
2011年3月20日 13:40
【外国為替市場フューチャー:3月22日~25日】
■協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点
来週(3月22日~25日)の外国為替市場で、ドル・円相場については、18日に合意したG7(日米欧主要7カ国)による協調為替介入の効果がどれくらい持続するのか、そして再びドル安・円高圧力が強まった場合に、協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点となるだろう。したがって当面の外国為替市場は、神経質な展開となる可能性が高いだろう。
ドル・円相場については、大勢として1ドル=81円台~83円台のレンジでボックス展開が続いていたが、東北地方太平洋沖地震の発生で状況が一変した形である。前週(3月14日~18日)は、リバトリエーション(資金の本国還流)の思惑などで95年4月につけた史上最高値を突破し、日本時間17日早朝には一時1ドル=76円25銭まで円が急騰した。ただし週末18日にはG7による協調為替介入の実施で円が急反落するなど乱高下した。
急速なドル安・円高の進行については、G7による協調為替介入実施の効果で、一旦は落ち着いた形である。そして当面は、心理的な節目として1ドル=80円台を支えるだろうとの見方がある。また、東日本大震災が日本経済に与える影響を考慮すれば、いずれドル高・円安方向に向かうとの指摘も多い。
しかし一方では、協調為替介入に一定の効果があったとしても、東日本大震災前の水準まで円が下落する可能性は小さいとの見方が多い。さらに、協調為替介入効果そのものの持続性や、協調為替介入の継続性について疑問視する見方も多い。東京電力福島原子力発電所の緊急事態の動向によっては、再び円高が進む可能性も指摘されている。リバトリエーションの思惑、中東・北アフリカ情勢の緊迫化、原油先物価格の上昇、米国長期金利の低下などによって、再びドル安・円高圧力が強まる可能性も警戒されている。その場合に、協調為替介入が継続されるのかが、今後の注目点となるだろう。
基本的には主要国の金融政策の動向が注目点である。世界的なインフレ懸念を背景として新興国での利上げが相次ぎ、ECB(欧州中央銀行)による4月利上げ観測も高まっている。米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和策第2弾(QE2)については、予定どおり11年6月末で終了するとの見方が優勢になっているが、その後は出口戦略に向かうのか、量的緩和策を継続するのかなど、米FRBの金融政策に対する見方が大きな焦点となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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